骰子回転劇場・転|日記: [WoD] 『World of Darkness: Antagonists』ファースト・インプレッション(1)
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骰子回転劇場 日記

[WoD] 『World of Darkness: Antagonists』ファースト・インプレッション(1)

» World of Darkness: Antagonists

届きました。リアルタイム更新はじめるよ。
まずW:tF、M:tF情報を楽しみにしていた人には残念なお知らせが。

本書にワーウルフは登場する。メイジも、登場する。しかし、具体的データは載っていない。

だがそれでも、本書にはV:tR、W:tF、M:tAwいずれにも有益な内容が詰まっている。Mattが発売に先立ち語っていたとおり「ストーリーテラーだけでなくプレイヤーにも役立つ本」に仕上がっていることはたしかだ。

その理由をこれから紹介しよう。

【Antagonistsとは】

Your antagonist is someone who you are having a contest, fight, or quarrel with.- コウビルド英語辞典

ひとことでいうと「敵役」だ。古典的なホラー小説やTRPGは、おおむね人間社会に適応して生きている主人公から見て、そのモラルや常識を超越したモンスターの脅威を描くものが多い。その視点を180度変えモンスターを主人公に据えてしまったのがWorld of DarknessというTRPGシリーズなわけで、2.0になって「やっぱり人間を主人公にWoDがやりたい」という遊び方がコアルールでサポートされるようになったとはいえ、『Vampire: The Requiem』などモンスター・ルールブックを使うときの基本路線は1.0時代と変わらない。

しかし、古典的ホラーで敵役だったモンスターが主人公になってしまったら、誰が敵役をすればいいんだろう?

その「誰が」を作るための道具箱を提供するのが『World of Darkness: Antagonists』だ。

ヴァンパイア、ワーウルフ、メイジ、人間——どの種族をプレイヤー・キャラクターに選んでも、本書があれば敵には困らない。

【Chapter One: The Living Dead】
WoD2.0にliving dead(アンデッド)を登場させるためのデータとルールを24ページにわたって掲載。巻頭小説もこの章関連のテーマなので、事実上の本書の目玉だ。ゾンビが出る出るとは発売前から言われていたが、ゾンビだけでなく5種類のアンデッド系モンスターが「living dead」という総称で紹介されている。

  1. zombies(文字通りのゾンビ。魔術などで蘇らされて使役される、ほとんど自我をもたない動く死体)
  2. imbued(死体の断片を継ぎ合わせて命を吹きこんだ人造人間)
  3. revenants(死者の魂が自分の死体に憑依して蘇ったもの)
  4. intruders(revenantの亜種。死体に本人以外の霊が憑依して強制的に蘇らせたもの)
  5. vampires(!)

ヴァンパイアについての解説は完全に『Vampire: The Requiem』へ譲る形になったので、敵役としてだけヴァンパイアを出したいSTには残念だが、フランケンシュタインが扱えるのはすばらしい。WoD1.0ではゴシックホラーを意識した世界観を展開ながらも結局フランケンシュタインの怪物を大きく扱ったルールは登場しなかったからだ。

《Zombies》
能力値はPower、 Finesse、Resilienceの3種類に簡略化されたNPC仕様で、ghostとおなじくSkillはなし。NPCとして使用されることが前提になっているようだ。

zombiesの作成システムの柔軟さは特筆すべきだろう。Aspect(特性)とWeaknesses(弱点)を自由に組み合わせることにより、ロメロの古典的ゾンビからバイオハザード的ゾンビまで幅広く再現できる。Aspects/Weaknesses一覧は、「このゾンビに殺された人間はゾンビになる」「生前愛していた人だけは攻撃できない」など勘所を外さない品揃えだ。

zombiesにはゾンビ・テンプレートとでも呼ぶべき基本能力値が用意されており、これにCreation Pointsを消費してAttributesを上昇させたり、Aspectsを追加したりしてキャラクターを作成する(Weaknessesを取得すればそのぶんCreation Pointsが浮く。WoD1.0における〈自由割振点/Freebie Points〉と似たようなものだと思えばいい)。使用したCreation Pointsの量が強さの目安になるわけだ。大群で登場させる場合のことも考慮されており、出現数に応じてCreation Pointの上限下限が設定されている。たとえばメイジが魔法でゾンビを作るような場合などに「強力なゾンビを数体」「弱いが墓場を埋めつくすほどのゾンビの大群」といった選択の幅ができるわけだ。

個人的に、1000体以上のゾンビを出現させる状況がルールでフォローされているのがとてもうれしかった。「もしSTが気に入らなければ、以下は自由に変えてかまわない」というお題目を100回書かれるより、チャートに一行「出現数が1000体以上の場合」とひっそり書かれているほうがいい。実際にゲームで使うことはまずないだろうが、こういうこともやっていいんだよ、とシステムレベルで可能性を示唆してくれるのは大歓迎だ。

また、大笑いしつつ感心させられたのはzombiesだけが持つ特性値「Physical Integrity」。下品な直訳をするなら「五体満足度」になるだろうか。この特性値は作りたての時点で10あり、手足その他が失われていくにつれ不可逆的に減少していく。Physical Integrityはzombiesが判定に使えるダイスプールの上限値となり、また、作られてから日数が経つにつれて強制的に減らされていくので、ゾンビが徐々に腐って使い物にならなくなるさまがルール上にも反映されるのだ。

データやルールだけでなく、WWお得意の蘊蓄も盛り込まれている。ひとくちにゾンビといってもどんな種類のものが知られていて、どんな原因で生まれるのか、どのへんがゾンビの怖いところなのか、といった内容だ。本文中にも参考資料はあがっているが、p.17にも詳しい。

《Imbued》
Hunter: The Reckoningをやる人にはまぎらわしいかぎりだが、WoD2.0におけるimbuedの定義は「死んだ人間ないし動物の死体を組み合わせて造った肉体に生命が吹きこまれたもの」である。要するにフランケンだ。もっとも顔がつぎはぎ細工である必要はないし、部品としてなら電子機器やマジックアイテムを組み込んでもかまわないようなので、一種のサイボーグや使い魔的なキャラクターもこの部類に含められそうではある。もっとも、「つぎはぎ死体が生き返る」「怪物の身体に無垢な魂」というコンセプトが強調されているあたり、やはり基本はフランケンシュタインの怪物と考えておくのが無難だろう。

imbuedの特性値はプレイヤー・キャラクターとおなじAttributes 9種類のフル表記。Skillも場合によっては持てるので、PCとして使用できないこともない。しかし、コンセプト上Intelligenceを高くすることが推奨されていないので、imbued PCの人数によってはSTに相当な頭痛を引き起こす可能性がある。

特殊能力はSupernatural Powersリストの中からコンセプトに応じて取捨選択するシステム。本書に登場する「敵役」が持つ超常能力はzombies以外すべてこの書式が採用されている。各能力のルールはすべて登場したページに書いてあるので、本をあちこちめくらなくていいのはありがたいが、今後種類が増えたときに重複や矛盾が発生しやすそうでちょっと気にかかる。

《Revenants/Intruders》
死者の霊が自分の死体に取り憑いて動かしているもの。WoDコアのghostが持つNumina: Possession(憑依能力)とまぎらわしいが、死んでいる人間にとり憑くあたりが違い。原因については現世への執着をはじめ4種類が具体的なキャラクターアイデアとともに提示されている。

能力値9種類のフル表記で、SkillやMeritも生前のものが使える。revenant固有の特性値であるEssenceを消費すれば、死霊としてNumina能力をふるうことも可能だ。もっともEssenceはrevenantの存在を維持するだけで消耗していくので、補充しないとあっという間に自滅してしまう。

興味深いのはEssenceの補充方法だ。
Wraithファンのみなさん、萌えどころですよ。
revenantはVirtue/Viceを持たないかわり、最大3つの「現世へ執着する理由」=Passionを持つことができる。自分を殺した犯人に復讐するとか、生前やりかけた研究を完成させるとかいったものだ。このPassionを幾分なりとも満たす行動をとれば、その満足度に応じた量のEssenceを回復できる。

Wraith: The OblivionのWraithが持つPassionとそっくりなのだ。

revenantの存在条件はかなり厳しいが、living deadの中では最も人間に近いので、墓場から蘇ったPCが復讐する『The Crow』ばりのセッションも夢ではない。

《Sample Characters》
zombies2種類、imbued1体, revenant1体, intruders1体。どれも背景がしっかり設定されており、これだけでもシナリオソースにできる充実ぶり。残念なのは、本文にも背景情報が掲載されているのにキャラクターデータではその点に言及されていないことぐらいか。

 

Matt McFarlandが『WoD:Antagonists』の続編に意欲

Promethean サプリメントや『World of Darkness: Asylum』の執筆に忙しい Matt McFarland は目下、『Worl... 続き... - Trackback from 骰子回転劇場・転|日記 december 23, 2006 01:31 pm
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World of Darkness に関する海外ニュースを Professor がときに適当な翻訳でお届け。名前が日記なのは骰子回転劇場・転の日記コーナーだった名残。実質上WoD2.0対応の回転劇場なので改名検討中。