【Chapter Two: A Need for Vengeance】
WoDでPCとなるモンスターは、弱点もあるがおおむね超人的な能力を持っている。人間が真正面から立ちむかったら、おそらく勝つのはモンスターのほうだろう。ではWoDにおける人間とは、ヴァンパイアにとっての歩く輸血パックにすぎないのだろうか? ワーウルフにとっての生肉、メイジにとっての操り人形に?
そうではないことを示すのがこの章だ。
この章はモンスターを狩る人間たち、いわゆる「ハンター」を扱う。しかしHunter: The ReconingのImbuedのようなものを期待するといささか失望するかもしれない。WoDコア以外のルールはいっさい使用されない。サンプルキャラクターも超常能力を持たないモータルで、ごく普通の職ににつき、ありふれた人生を送ってきた人々ばかりだ。その平凡な人々がいつモンスターの存在を認め、なぜ追いつめ、どうやって殺すのか、が26ページにわたって丁寧に解説される。
なに、自分はプレイヤー専門だから敵の情報は読まないほうが楽しめる? とんでもない。プレイヤーにだってこの章は役に立つ。ヴァンパイア、ワーウルフ、メイジといった超常キャラクターをプレイする人にはなおさらこの章は有用だ。いや読むべきだ。マスト読め。
なぜなら彼らは、あなたのキャラクターの行いから生まれる敵だからだ。
たとえあなたのキャラクターが善良にふるまおうと心がけたとしても、人間と不必要にかかわるまいと自重したとしても、超常生物としてWoD世界に存在しつづけようとするかぎり、あなたのせいで誰かがハンターの道を選ぶ可能性はいつだってある——望むと望まないにかかわらず。そのことを本章は明快に指摘する。
もちろん、人間PCでモンスターを狩る史劇をはじめようとか、V:tRにヴァンパイア・ハンターを投入しようとするSTにとって本章の資料価値が高いことはいうまでもない。ごく普通の人間が超常存在を追いつめるためにとれる手段は、武術の達人になって銀ナイフや杭を片手に殴り合うだけではない。卑怯な手、汚い手も紹介されているし、他人と協力する利点と危険についても論じられている。また狩られる側——超常存在がハンターの存在を嗅ぎつけ、返り討ちにするにはどういう手段があるかも述べられている。ここもプレイヤーが読んで役立つ点のひとつだろう。
もっとも、p.48「Too Cynical」で述べられているように、ここではあくまで個人が個人的動機からモンスター個人を倒すことに焦点が置かれていて、吸血鬼撲滅をめざすハンター協会や人狼を狩った賞金で生活する職業ハンターというような設定を求める人は物足りないかもしれない。また「吸血鬼と吸血鬼ハンターが和解して共存……」などというシチュエーションに萌えを感じるむきにも、かなり手厳しいことが書かれている。
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