» ジャッカス・ザ・ムービー 日本特別版 / jackass the movie
2005年最初の映画鑑賞。昨年『デビルマン』とか『キャシャーン』とかろくでもない映画に明け暮れたあげく、年明け早々バカだアホだと前評判も高い『ジャッカス』のレイトショーにわざわざ修羅場の合間に駆けつけるあたり前年の反省がまるで生かされていない。
もともとテレビ番組らしいが、日頃テレビをまったく見ない私にはとんと予備知識がなく、公式サイトを漁っても、とにかく体を張ったバカ映画らしいという以外にたいしたことはわからなかった。ただ上映劇場を調べていたら、前売券のおまけが「ゲロ袋」だとわかった。こともあろうに、なぜ映画館でゲロ袋なのか、という理由は序盤30分ぐらいで思い知ることになる。
冒頭に「よい子は真似をしないでね」と警告文が出てくるのだが、「この映画の中でいろいろなアクションを演じているのはプロのスタントマンです」という原文の「Professionals」をあえて「バカ」と訳し、「この映画の中で……演じているのはバカです」とした字幕翻訳家には敬意を表したい。
オープニングの主要出演者たちの登場からして、ばかを予感させる。『カルミナ・ブラーナ』が轟然と鳴り響き、爆煙がもうもうと立ちこめる中から、パンツ一丁とか半裸とかジャージ姿の男たちを載せた巨大なショッピングカート(アメリカではあれが標準サイズなのかも知れないが)が走ってくるのだ。
カートは巨大だが、それでも乗り切れないのが2人ほど横にしがみつこうと必死になって併走している。カートに乗った男たちは音楽に合わせておたがいにどつき合っている。その両脇からドカンドカンと祝砲のように爆煙が吹き付けられる。と思ったら瓦礫まで混じっていて、爆発のたびに尖ったコンクリ片が容赦なくカートを直撃する。ひとりまたひとりと撃墜されていく男たち。そして暴走するカートは露天商が果物を並べている棚に真っ正面から突っこむ。宙に舞う男たち。どっかーん。
……こんな始まり方をする映画がまともなはずがない。
本編は、というか、その後は、出演者が体を張ったイタズラというか悪ふざけを仕掛ける場面が延々と流れつづけ、観客からこれでもかこれでもかと爆笑を絞り出す。テレビ番組と違ってCMで一息入れる間もありはしない。
「後ろから忍び寄っていきなりバリカンで10円ハゲを作る」
「SFXメイクで老人に化け、街中で電動カートを暴走させる」
「ワサビを鼻から吸いこんでラリる」
「両親が眠っている寝室にロケット花火をしこたま仕掛けて真夜中に爆発させる」
「デコボコ道をジープで爆走しながら刺青を彫る」
ここに上げたのはまだ「お上品」なほうで、序盤のイタズラで微笑んでいるとそのうちに出演者が脱ぐわ垂れるわ晒すわ入れるわ、とてもじゃないがお子様には見せられないド下品パフォーマンスをおっぱじめ、食事時には見たくない類の排泄物ネタも(1、2個ではあるが)登場し、カメラマンまで気持ち悪くなる有様。
そう、ゲロ袋はつられて催してしまった観客のために必要なのだ。
とはいえ出演者からして終始飲んだくれてるかげらげら笑っているか、なので、ネタは下品猥褻といってもどこか陽性な無邪気さが漂う。言うなれば、体育会系の学生の命知らずなどんちゃん騒ぎにまぎれこんでしまったような、そういう気分にさせられる映画である。
ちなみに、日本特別版と銘打っているだけあって、パンダの着ぐるみを着て渋谷のバーに乱入したり、日本人の女子キックボクサーにボコボコに殴られたりといった場面も登場する。
下ネタに耐性があり、かつ90分間もうイヤというほど笑いたいという向きにはおすすめだ。ただし鑑賞前に夕食を摂るのは前述の理由でお勧めしない。またきれい好きな彼氏彼女を連れていくのもお勧めしない。深夜だけにカップルで見に来ていた客は多かったが、映画館を出しなにちらっと観察すると、口元を抑えたり憮然としているご婦人も見受けられた。
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