前回のキャラクターコンテストをばっくれたので今回は多少まじめに書いてみました。ネタ自体は不真面目です。
【サヴァラン/Savarins】
天は素晴しい肉を送ってくれるが、デヴィルが料理人をさしむける。——デイヴィッド・ギャリック
この枝族(bloodline)の起源は、名前よりもはるかに古い。始祖は17世紀末フランスの、ある自己顕示欲旺盛な宮廷料理人だという。この男、引退後に自ら考案したレシピの数々を書き残そうとしたのだが、完成間際に病に冒され余命幾ばくもないと医者に言いわたされた。我が著作が日の目を見るまでは死んでも死にきれぬ、と、老料理人はついに黒魔術に手を出し悪魔を呼び出して魂と引き替えにいましばらくの寿命を買い取った。言うまでもなく悪魔の正体はディーヴァ氏族のヴァンパイアで(Circle of Croneの一員だったらしい)、おかげで本は無事日の目を見たが著者本人は二度と日の目を見られない身の上に墜ちたというわけだ。
老料理人にとってヴァンパイアの食餌は受けいれがたいものだった。貴族出から平民出までみな一様に「素材」にそのままかぶりついて「これが最も美味」とは! 野蛮人も同然ではないか。たしかに新鮮な血が美味なのは認めるが、手を加えればさらに旨くなるとどうして誰も考えないのか。
酒に酔った人間の血を飲めばヴァンパイアも酔うことから、食物と血の味に因果関係があると考えた老料理人は、長年の研鑽のはてに「血に望み通りの風味をつける」という独自の訓え《調味術/Cuisene》をあみだし自らの枝族を創始する。実のところ、19世紀半ばに『美味礼賛』の著者が加わるまで、この枝族は単に料理人を意味する「カリナリアン(Culinarians)」と呼ばれていたのだ。
件の美食文学作家、つまりブリア=サヴァランは、人間では味わえない至高の美味を求めてディーヴァ氏族の抱擁を受けいれ、それでも飽きたらずにカリナリアン枝族に加わったのだが、《調味術/Cuisene》を駆使した饗宴で当時のパリ公子の外交におおいに貢献し、枝族を一躍有名にした。サヴァランはカリナリアン枝族の代名詞的人物になり、やがて枝族そのものの俗称になり、枝族自体も好んでその名を使った結果、事実上の正式名として定着してしまったのである。
血族のパーティに「軽い飲み物」が出されることは珍しくないが、それにサヴァランが手をかければ飲み物自体がまさしく「よそでは味わえないもてなし」に変わる。ゆえにサヴァランの「料理人」は社交好きの血族にひっぱりだこだが、彼らが血族にのみ作用する毒にも通じていることを知る者は少ない……
【祖氏族/Parent Clan】
ディーヴァ/Daeva
【俗称/Nickname】
料理人/Culinarians
【枝族の弱点/Bloodline Weakness】
至高の美味を追求するがゆえに、たとえ生きるためでもまずくて薄い血には我慢ならない。その傾向は齢を経るにつれますます強まっていく。サヴァラン枝族のヴァンパイアは、ディーヴァ氏族の弱点に加え、以下の弱点を有する。
サヴァラン枝族のヴァンパイアは、血を吸える対象の制限(基本ルールp.99「Effects of Blood Potency」参照)に関するかぎり、體血強度/Blood Potencyが本来より+2高いものとして扱う。すなわち、體血強度2にして動物の血では生きていけなくなり、體血強度5にして早くもヴァンパイアの血しか飲めなくなる。
體血強度への修正が適用されるのは、吸血対象の制限を決める時のみ。休眠(Torpor)期間の決定や訓えへ抵抗を試みる際のダイスプールなどには影響しない。
現在、體血強度9以上のサヴァランは存在を知られていない。STがそのようなヴァンパイアをゲームに登場させる場合は、吸血対象に関する任意の制限を考えてほしい。
【コヴナント/Covenant】
サヴァランは自らの長所を活かすためにも、単に生存するためにも、安定した血の供給が欠かせない。ゆえに、住んでいる街で支配的なコヴナントにくみすることが多い。
【外見】
明らかにフランス起源の枝族ではあるが、近年グルメへの関心の高まりとともに人種民族ともに多様になってきた。特にアジア系民族出身者の増加は著しい。サヴァラン枝族は外見についてはさほど注文がうるさくなく、たいていは自分の生まれた時代なり最新流行なり趣味に応じた恰好をしているが、社交の場に出ることが多いため、TPOに合わせた服装ができるだけの良識は要求される。
【寝処】
しばしば獲物の「調理場」を兼ねるので、人間にとっても(日当たりを除けば)快適な居住環境を確保していることが多い。大都市のマンションやホテルの一室、あるいは私邸を構えているというのが一般的。人口の少ない郊外や町村でサヴァランを見かけることはまれである。
【出身】
生前から美食や調理に関心を持っていた者が多く、自然と富裕な中流〜上流階級出身者がほとんどを占める。元祖サヴァラン時代からの伝統で社交界と接触のある者が選ばれる傾向があるが、近年犯罪社会や医療方面に顔が利く血族の参入も増えている。足のつかない「食材」を容易に調達できるからだ。
【キャラクター作成の指針】
料理人たるもの、グルメの舌を喜ばせる新奇な味覚を考案する機知、《調味術》に必要なさまざまな調味料の組み合わせを覚える記憶力は欠かせない。ゆえにMental AttributeとMental Skillが最優先される傾向がある。素材の善し悪しを見抜く眼力のためにComposureも養いたいところ。もちろん良い食材を惹きつけるPresence、パトロンをがっちり確保するためのManipulationも高いに越したことはない。
【枝族の訓え】
透覚/Auspex、蠱惑/Majesty、剛力/Vigor、調味術/Cuisine*
【調味術/Cuisine】
めんどいので細かいデータは抜きです。要望があれば後日でっちあげます。
1ドット〔利き血/Tasting〕:血をほんの微量舐めただけで、それがヴァンパイアか、人間か、その他の超常生物かを判別できる。ヴァンパイアなら氏族およびBlood Potencyが自分より高いか低いか、人間なら性別やおよその年齢、健康状態までわかる。
2ドット〔調味/Seasoning〕:モータルのみ対象。特定の食物を摂取させることで、その血を吸ったヴァンパイアに術者の指定した味覚を感じさせることができる。この血は非常に美味であり、消費したときVitaeに換算して通常の2倍の効果を発揮する。
3ドット〔調理/Arranging〕:動物の血を人間の血に、人間の血をヴァンパイアの血に錯覚させる。通常ならBlood Potencyによる制限で飲めない血でも飲めるようになる。ただしVitaeに換算すると本来の1/2相当にしかならない。
4ドット〔調毒/Poisoning〕:人間の血をヴァンパイアにのみ作用する遅効性の毒物に変える。
5ドット〔昇華/Epiculian Tastes〕:術者に一定のコスト、ないし貴重な触媒の消費を要求するものの、動物の血を人間の血相当に、人間の血をヴァンパイアの血相当に変えることができる。〔調理〕の強化版であり、血の効力がVitae換算して半分になることはない。
【シナリオアイデア】
・街の有力血族が、メンツのかかった大パーティの「メインシェフ」としてサヴァラン枝族を雇い入れる。ところが彼は、メインディッシュに特別な種類の人間(例:18歳のフィンランド出身で生理中の処女)が必要だと言いだし、その調達係としてPCたちが駆り出される。
・ライバル血族が、パーティのホストのメンツを潰すために「メインシェフ」となるサヴァラン枝族の誘拐を計画。PCたちはそれを阻止してホストに恩を売るか、逆に手助けしてライバルに恩を売るかの二者択一を迫られることに。
・「メインシェフ」は、実はライバル血族の送りこんだ刺客だった。ホストが毒入りの「メインディッシュ」を口にする前に、PCたちはそれを阻止できるか?
・(W:tFとのクロスオーバーで)血を採っても採っても回復するUrathaはサヴァランにとって夢の食材。サヴァランの奸計にはまって囚われたパック仲間を救出に……
【アレンジ】
コンテストの趣旨に合わせてbloodline風味に仕立てましたが、covenantにしても美味しくいただけます。リゾート都市や大都会といった歓楽に関心の高い土地でたまにみかける、といった程度の小規模なものにして、CuiseneをCruacやTheban Sorceryのようなritualに変えるのです。
もともと「サヴァランの末裔」というより「美味を追求する者たち」という点にウェイトを置いた設定なので、同じ思想で結ばれた集団であるcovenantとは非常に相性がいいのです。Auspexによる鋭い味覚を活かしたMekhetの批評家、Animalismで野獣を飼い慣らし人血なみの美味に仕立て上げるVentrueの調理師、などとキャラクターの幅も広がります。
さらに想像を進めて、Savarin covenant内部に喰う専門のGourmets(美食家)と、味付き血を作る専門のChefs(調理師)という二つの派閥があって、それぞれ異なる系統のritualを持っている、というのはどうでしょう。美味なる血を作るritualを求めて高名なChefに弟子入りしたり、そのレシピが書かれているという稀覯書を探し求めたり、というようなシナリオネタが考えられます。
【あとがき】
そもそもの着想は、V:tMの『Dirty Secrets of the Black Hand』に載っていた追加技能「Blood Preparation」です。これは特定の薬物や香辛料や食物を人間に摂取させることで血においしく味付けをする(ないし毒を盛る)、というろくでもないスキルなんですが、もしV:tRの世界に存在したとしたらDaevaが飛びつかないわけがない……ですよね?
![]()
諸方面から心配いただきましたが、あの電車には乗らなかったので大丈夫です。
![]()
昼間の肉体労働で消耗して極めてやる気の低下した状態で(申しわけない)セッションに臨む。
人に親切にしようという気力が微塵もないところがもろにロールプレイに出た結果、図らずも人間性4のリアルな演技になってしまった。
とはいえプレイヤーレベルでは人に親切にすべきだと思った。
![]()
ほったらかしていた『Lancea Sanctum』ファースト・インプレッション、第1章前半を更新しました。
いや前半だけかって言われるかもしれませんがそれぐらいのボリュームの話は書いてるので勘弁。
![]()
【White Wolf LiveJournal, 2005/4/18】W:tFも無事出たからには次は新Mage、とうずうずしている人には待望の情報公開である。
![]()
【White Wolf Live Journal, 2005/4/14】
例によって、Justinが諸方面の進行状況を知らせてくれているのだが、たぶん目玉はMage: the Awakeningのコンセプトスケッチだろう。いったいどんなゲームになるんだ。
![]()
【White Wolf Online, 2005/4/14】
4月13日19時(日本時間14日朝9時)、White Wolf公式サイトにて、『Werewolf: The Forsaken』のディベロッパーEthan Skempをゲストに迎えた公開チャットが開催された。W:tFのディベロッパー・チャットとしては2回目、W:tF発売後としては初めて、とあって、前回よりはルールや世界観に関する突っ込んだ質問が増えたようだ。すでに公式サイトやフォーラムで何度も説明されている事柄に関する質問も目立ったが、それだけ新規のユーザーの関心をも惹きつけている、ということなのかもしれない。
以下は公開されたチャットログの要約。今回は話題別にまとめてみた。
【精霊と精霊界に関する質問】
Q: stepping sideways(界渡り)をおこなう際、人口の多い市街地ほどGauntlet(ガントレット)が厚いとみなされてダイスプールに不利な修正がつきますね(W:tF p.250-251)。この考え方はW:tAから継承されたものですか?
A: たしかその修正は、WoDコアルールでghostが物質界に出現するときの判定修正(WoDコア p.210)に基づいて作ったんだ——まったく同じというわけではないが。Gauntlet修正はストーリーテラーが臨機応変に決めていいんだよ。「人口密集地ほど厚くなる」という基準はあくまで目安として設けたものだ。とっかかりは必要だからね。
Q: もしlocusが移動可能な物体の上にあったら、そのlocusを移動させることは可能ですか。
A: 通常は、一定範囲から外に出るとlocusとしての機能を停止する。locusはGauntletの薄い「場所」だ。それが動くとなると、かなり奇妙なことになる——まあ想像してみてくれ、移動可能なlocusを車に載せて高速道路をすっとばしたらどうなるか。時速130キロで動くGauntletの穴だぞ? まあいつも言ってることだけど、移動可能なlocusを使ったクールな設定を思いついても君のゲームで使っちゃいけないって言ってるわけじゃないからな。一般則を重んじるあまり興味深い例外の可能性を潰してしまうのはよくないよ……
Q: Urathaは特にGiftやriteを使わなくても、精霊を喰らってEssenceを回復できますか?
A: 現時点でそれに関するルールは作っていない。最初のブレインストーミングで話は出たが、あまりに安易すぎる気がしたんだ。精霊を喰ってもEssence回復できるのなら、人肉喰いの禁断の魅力が薄れてしまうからな。
Q: Harmony値の低いUrathaが、精霊のbanめいた言動を示しはじめる(W:tF p.180-)のはなぜですか? Harmonyが下がるというのは精霊界とのつながりを失っていくことでは?
A: 精霊界との絆自体を失うわけじゃないからさ。失われるのはむしろ、その絆をコントロールする力のほうだ。riteが難しくなるのも同じ理由だ。Harmony値が下がるにつれワーウルフが獣じみてくるのは事実だが、同時に精霊に近くもなっていくんだ。まあ端的に言うと映画の人狼っぽくなるわけだ——まじないの能力を失い、後先を考えなくなり、およそ人間ばなれした思考様式をとるようになってくる。映画といっても、「いい映画の」人狼だよ。単に超能力を持った人間が人狼でございって顔をしてるクズ作品のじゃない。
Q: conceptual spirit(概念精霊、W:tF p.280)は、自分を生みだした人間の後をついてまわるものなんでしょうか、それとも生まれた場所に執着するものなんでしょうか。Essenceはどちらから得ているのですか。例えば、ある殺人鬼を影界側から見れば負の感情の精霊をぞろぞろしょっている、なんてことはありますか。
A: conceptual spiritは、特定の場所や人物よりはむしろ自分を生みだした概念に執着する。だから、殺人から生まれた精霊は、犯人がまた殺人をやりそうなら後についていくだろう。もし犯行現場が地元の住民の間で「あの殺人が起きた場所」として有名になれば、その場にとどまるだろう。概念精霊をぞろぞろしょって歩いてるとしたら、そのサイコ野郎は相当大勢の人間を残忍な手口で殺したにちがいないね。
【Pure tribesに関する質問】
Q: Pure tribesを専門的に扱うサプリメントは出ますか?
A: そのうちにはね。予定はあるんだ。『Predators』の1章を割いたぐらいで片づけてしまうのはもったいない。もっとも、その1章の資料価値を後続のサプリメントが薄めるようなことにはしたくないが……
Q: 言うなれば『Players Guide to Garou』のPure tribe版を作るということでしょうか。その本にはPure tribeをプレイヤー・キャラクターとして遊べるようにするルールが載りますか?
A: そんなルール、新しく作るまでもないと思うがねえ。必要なルールは『Werewolf: The Forsaken』にちゃんと揃ってるはずだ。わざわざ『Werewolf: The Pure』とか銘打って基本ルールを作り直すほどのことはないよ。
Q: Pure tribesもForsakenと同様に、亡きFather Wolfの使命を代わりに果たそうと考えているのですか?
A: Pure tribesは、精霊界が物質界に干渉するのをやめさせようとはあまり考えない。そもそも精霊界から力を得ている身だからね。Lunaからの加護はなくても、もっと強大な古い諸霊が味方してくれる。Pureは精霊界の住人に対してあれこれうるさく指図しないから。
Q: Ivory Clawsのbanは何ですか? どこに書いてあるか見つからなくて。
A: Forsakenの血を引くワーウルフはIvory Clawsに入れない、というのがそれなんだが——思ったよりストーリーフックが作りにくいんで、今後修正するかもしれない。
【Bale Hound、Hostに関する質問】
Q: Bale Houndにauspiceはありますか。それとも精霊と契約を交わした時点で失われるのですか。
A: Bale Houndになってもauspiceは残る。LunaはForsakenが「悪の道に走った」からといって一度与えたauspiceをとりあげたりはしないようだ(そもそも、Lunaが意図して与えるものではないのかもしれないが)。auspiceはいわば相性のようなもので、捨てようと思えばそれなりの手間をかけなければならない。例えばPure tribeの参入儀礼とかね……
Q: HostとForsakenとの間で交渉や取引が行われる可能性はありますか? それともお互いの姿を見かけたらただちに殺し合う間柄ですか? UrathaがHostを脅して何かをやらせたりすることは考えられるでしょうか?
A: 交渉の余地はいつだってあるさ。ただ、Hostと取引するというのはかなり危なっかしい賭けだね。Hostはワーウルフとは異質な——およそ人間らしいとはいいがたい——思考形態をもっているし、精霊ほど予測しやすくもない。非人間的な思考形態という点では精霊に似ているが、Hostは人間の知識を吸収したり、ある程度人間をまねることを学んだりするからね。脳とか心臓を喰って。そうだな、交渉できないってことはないだろう。どちらかといえばCunningの範疇で、Wisdomに数えるにはほど遠いかな。たぶん、他のUrathaにはあまり知られたくないだろうし、相手のHostに好感なんてこれっぱかりも抱きはしないだろう。でもまあ、世の中何が起こるかわからないからな。
【形態に関する質問】
Q: Gauru形態(WtF p.172)では鉤爪より牙のほうがダメージ修正が大きくて明らかに有利です。血が有毒な怪物と戦うといった特殊な状況は別として、あえて鉤爪を使うべき理由はないのでは? リーチでは鉤爪のほうが有利だという意見は聞いたことがありますが、実際にリーチ差が問題になるような状況は発生するものでしょうか?
A: 僕が先週末にやったセッションでは、小学校の地下室の天井に張りついて頭上から襲ってくるAzluを登場させた。これは「リーチ差が重要になる状況」といえるんじゃないかな。単純に考えても鉤爪を使う戦術的利点はたくさんあるよ。例えばホラー映画でよくある、扉をたたき壊して中にいる奴に襲いかかる場面、これは牙では無理だよな。牙は敵にとどめをさすのに有効かもしれないが、古典的ワーウルフの恐ろしさはやはり鉤爪に負うところが大きいといえる。
Q: Hishu形態やUrhan形態のワーウルフの正体を看破しようと試みる場合、判定にペナルティがかかりますね(W:tF p.170, 173)。wolf-bloodedのUnseen Sense Meritは、HishuやUrhanに反応しますか?
A: 反応する。気づくかどうかの判定には通常どおりのペナルティがかかるよ。もっとも、そこはドラマを盛り上げるためにストーリーテラーが多少ごまかしをやってもいいんじゃないかと思うが。
【auspiceに関する質問】
Q: 月の満ち欠けは28日周期なのに、auspiceは5種類です。月齢によっては、どちらのauspiceに属するのか迷う場合があるのでは?
A: それはストーリーテラーの判断に任せるべき問題ではあるな。どこまでが半月でどこからが三日月か明確な線引きをするのは難しい——それに正確に半月の晩でないとElodothになれないってのもあんまりだ。僕はだいたい、新月、半月、満月の前後約3日間は、auspiceに関する限りそれぞれ新月や半月や満月とみなすようにしている。そもそも月の満ち欠け周期だってきっかり28日じゃないわけだしな。
【wolf-bloodedに関する質問】
Q: wolf-bloodedがUrathaを識別する(W:tF p.79)、あるいはUrathaがUrathaを識別する(p.180)ルールについては基本ルールブックに載っていますが、Urathaがwolf-bloodedを識別する際の処理については言及がありません。このような場合、STが状況に応じて判断すればいいのでしょうか。それとも、Wits + Primal Urgeで判定(wolf-bloodedはPrimal Urgeを持たないので実質上はWits判定)させたほうがいいのでしょうか。
A: 個人的見解としては、簡単には判らないようにすべきだと思う。ワーウルフ生活が楽になりすぎるのはよくないからね。僕なら、そういう場合は判定で処理せずに、正確な家系図を作るとか、地元の噂に日頃から耳を澄ませておくとか、希少なGiftやriteを使うとかしないと判断できないということにするかな。これなら「知られざる」wolf-bloodedがいても辻褄が合うし、判定すればわかってしまうという処理よりもかえって可能性の幅が広がる。
【今後のサプリメント展開に関する質問】
Q: 『Lore of the Forsaken』には何が載りますか?
A: 俺の血痕……というのは冗談で、おおまかに分けてauspiceの章、LunaやFirstbornといった主要トーテムの章、Giftとriteの章、それからlocusとawakenした物品とfetishの章、という構成になる。要はForsakenと精霊との関わりの実際面を扱うハンドブックだな。Forsakenが精霊に対して何をするのか、なぜそうするのか、その結果どういう問題が派生するか、って話をやる。結果だけでなく過程も重視して描くつもりだ。追加データも多少つけるが、どちらかといえばおまけだな。
Q: Ordo Draculの『Rites of the Dragon』やW:tAのガルゥの『Silver Record』のような、Urathaの起源が書かれた古文書風サプリメントが出たりしませんか。
A: 予定にはないが、あればいいかもしれないな。何通りもの始源神話を載せた分厚いやつとかね。ただ難しいのは、そういう「聖書的な」本、歴史に残るような書物を書き残すような傾向をワーウルフはあまり持ち合わせていないという点だ。自分たちについて本を書きたがるような連中ではないんだよ……(まあ作るんなら人間の皮で作った巻物とかだな(笑)。出版社のコメントが載ったりするのは見たくないね)
Q: シカゴ本(シカゴを題材にしたWoD都市設定資料集。近刊)は、ワーウルフ、ヴァンパイア、メイジの共通サプリメントになるそうですね。シカゴではワーウルフはどのような役回りを果たすのですか。また他種族とはどのようにかかわっていくのですか。
A: シカゴ本では「ネオ封建制」の最たるものをお見せできると思う——ほとんどの事柄はpack/coterie/cabalレベルで展開するんだ。だから「ワーウルフの」果たす役割というのは特にない——「あるパックが」果たす役割はあるかもしれないが。シカゴは三大種族がいずれ劣らぬ強い勢力を誇る都市のひとつという設定になっている。お互いに抗争でも休戦でもロマンスでも何だってできるようにね。大規模なクロスオーバー設定なのに相互関係に関しては「ワーウルフはヴァンパイアと戦争状態にある」など画一的なガイドラインをもうけるだけで済ませる悪い見本は作りたくない。それじゃ進歩どころか退化だからね……
Q: 『Hunting Ground: The Rockies』には、Gurdilagの仲間が登場しますか?
A: Gurdilagのようなidigam(W:tF p.36)に「仲間」などというものはいない。被害者ならまだそこらじゅうにいるけどな。
Q: V:tRの追加bloodline集のように、W:tFでも追加lodgeを集めた本は出ますか?
A: うん。『Lodges: The Faithful』という題で作る予定なんだが、なかなか興味深い読み物になりそうだ。lodge——ワーウルフの地方集団だったり、部族内派閥だったり、一種のカルト集団だったりするわけだが——に関する諸々を扱おうと思っている。クロニクルのための便利なツールや小粋なオプションを載せる余地はたっぷりあるよ。
Q: もしよければ、これまで言及されていないが制作予定に入っているサプリメントについて教えてください。
A:このあいだ 『Blasphemies』という本の契約を済ませたところだ。題名から敵キャラデータ集みたいなのを想像するかもしれないが、そうじゃない——そういう風に使うこともできるが、掲載されるツールは性質を異にするものだ。前々から温めている非常に型破りなアイデアがいくつかあってね。ぱっと見はたいしたことないように見えるんだ、少なくともゲームをはじめて最初の1〜2年ぐらいは。そこがミソでね。
Q: 一般的な精霊のデータとか、そういう精霊を作るためのアイデアとかを集めた汎用サプリメントがあったらいいなと思うんですが……
A: 初めからあまり専門的なサプリメントを出すのもどうかと思ったんだよ。精霊に関する情報を、あえて独立した本にせず『Predators』の大きな1章として収録したのはそういうわけだ。基本ルールブックp. 279掲載の精霊作成ルールはかなりしっかりした出来で、GiftをCharmとして流用しても問題ないようになっている。ストーリーテラー諸君が楽しく活用してくれれば僕としてもうれしい。そのうち大規模な精霊データ集を作ろうということになればもちろん使いでのある本にしたいが、それを待つまでもなくW:tF基本ルールと『Predators』だけでも遊べるネタはたっぷりあると思うよ。
Q: 新WoD第4弾のゲームが何を題材にしたものになるか、いろいろ憶測が飛びかっていますが……
A: はっきりしたことはまだ何も言えないけどね。ミーティングはもう何回となくやっているよ。ようやくおおまかな骨組みができて、それに肉付けする作業にとりかかったところだ……ゲームデザイナー版『イルーニュの巨人』とでもいうべき作業でね。いっとくが、第4弾が『イルーニュの巨人』だってわけじゃないからな。
Q: 以前にWoD汎用で『Book of Spirits』という本が出るという噂がありましたが、あれは没になったんですか?
A: いや、『Mage: The Awakening』が出るまで延期しようということになったんだ。Vampire、Werewolf、Mageの三大シリーズが出そろった後なら、そのどれとも確実に互換性をもつ本にできるし、そもそもWoD系列のサプリメントはそのために作っているものだから。
【言わずとしれた質問】
Q: Uratha、Hisil、各auspiceの名称といったW:tFのさまざまな用語はなにを基にしてるんですか。っていうか、そもそも何語?
A: もちろん、First Tongueさ! どういう文法でああいう単語が生まれるのかについては……まあ、今は言わないでおこうかな。まだ誰も推測しようとはしてないみたいだが、こちらから種明かしをする前に誰かに自力で「解読」してほしいからね。そのほうが面白いし。
Q: 『Mage: The Awakening』について何か情報を教えてくださいよ。
A: (Conrad Hubbardより回答)2005年8月リリースの予定です。詳しい内容についてはもうすぐ公開します。(Ethan Skempが付け加えて)旧Mageとはずいぶん違うゲームになってるよ。略称は同じだけどな。
Q: 現時点で、人狼以外の獣人を登場させる予定はありますか?
A: ないね。いまのところ、あえてそれに手を付ける理由は外見的なバリエーションを増やすという以外に見あたらないんだ。それだけじゃちょっとね……
![]()
【White Wolf Online, Apr. 11】W:tFとしては2回目、基本ルール発売後としては初のディベロッパー・チャットが、4月13日午後7時(日本時間4月14日午前9時)からWhite Wolf Online内の特設チャット上で開催される。先月ちらりと予告されていたとはいえ、2日前という突然の告知だ。
W:tF基本ルールが発売になってから1ヶ月、ルール周りの疑問もフォーラムでだいぶ出そろってきたようなので、質問はそのあたりに集中すると思われる。
LiveJournalで言及されていた謎の『Infinite Dingo Sting of the Giant Werewolf Karate Duel(?)』や『WoD: Cougarpants(?)』といった開発中サプリメントについての話も聞けるかもしれない。
![]()
発売日にアマゾンに注文したら1週間かかると脅かされたが、けっきょく今日届いている。あてにならぬ発送予定日表示である。W:tFプレビューが終了したりW:tFがいまだに読み終わってなかったりそもそもその前に買った『Bloodlines: The Hidden』もファースト・インプレッションを書いてなかったり色々へたれているが気を取り直してリアルタイム更新いくよ。
W:tFとBloodlinesのレビューはもうちょっと待ってください。
【装丁と挿絵】
Wraith: The Oblivion初版を初めて見たときの感動を思いだしてしまった。V:tRのことを何も知らずに店頭で見かけたとしても、思わず表紙買いしたかもしれない。
第一印象は「くっきりシャープ」。表紙はロゴ部分ツヤあり、イラスト部分ツヤ消しといういつもの加工なのだが、この本に関してはそれが非常に効果的にはたらいている。胸に血で十字架を描いた裸の男が両腕を高々と差し上げている絵の、指の部分がタイトルロゴの隅に微妙に重なっていて、つや消し加工の指とつや出し加工のロゴの対比が絶妙な立体感を生んでいるのだ。World of Darknessロゴの背景をよく見るとLanceaのシンボルマークの一部である髑髏が薄く敷き詰められていたり、「Vampire」のロゴが鮮やかな朱色に変更されていたり、デザイン上の細かい配慮が感じられる装丁になっている。
装丁面でもう一つ特記すべきはPrologue(巻頭小説)部分。ここだけザラッとした厚めの茶色の紙で中世の手写本風になっている。カリグラフィ風の書体を使ったり、イラストも木版画調にしたり、と、ここでも芸が細かい。新WoDはどの製品もなにかしら装丁に工夫を凝らしているので次の製品を買うのが楽しみになる。
挿絵は点数こそ少なめだが、穴埋めのためだけに置いてあるような屑イラストを見かけないのがすばらしい。画風はけっこうばらばらで読者によって好みが分かれるかもしれない。
アートディレクターはPauline Benny。
【Prologue: Faithful Service】
珍しく著者名表記があると思ったら、V:tR小説を手がけるGreg Stolzeだ。先にいったように中世の手写本風デザインなのだが、話そのものはどうやら現代らしい。いきなりショットガンやらTシャツやらの話題が出るし、公式NPCSolomon Birchも登場するのでものすごい違和感である。とはいえこれも、「中世の装いをまとった現代」という、Lancea Sancutumの象徴と解釈できなくもない。
まったくの余談だが、目次ではなぜか題名が「Prelude」になっている。
【Introduction: Rejoice, for Thou Art Damned!】
本書の概要、テーマとムード、用語集、各章の内容説明。どのWoDサプリメントにほぼ必ずといっていいほどついてくる「いつものやつ」である。ただ、テーマやムードを表現するキーワードを提示してこないのがいつもと違うところ。
Listen to Ave Maria alone on a dark winter's night, the snow falling as if it were the silent hand of God wiping the world clean.
冬の夜更け、降りしきる雪がまるで世界を音もなく拭い浄める神の手を想わせる、そんな晩に独りでアヴェ・マリアに耳傾けている。—— p. 23, 「Mood」より
という風に、想像をかきたてる思わせぶりな文章が並んでいる。
p.25「How to Use This Book」は、WoDの英語版サプリメントを見慣れている人には説明するまでもなかろうが各章の内容説明。ちなみにp.24〜p.25はサンプルとしてPDF版が無料ダウンロードできる。
p. 25〜27「Lexicon」が用語集になっている。予想通りというか、予想を上回るというか、キリスト教の抹香臭い香り漂う用語が満載である。Inquisitor(異端審問官)、The Rule of Golgotha(ゴルゴタ法典)、Black Saints(闇聖人)……V:tMで『ノド書』や『The Erciyes Fragments』が好きだという人や、サバトのキリスト教っぽさが気に入っているという人は、このページを見るだけでおおいに想像が膨らむだろう。
天使も出るよ。
【Chapter 1: The History of the Lancea Sanctum】
p.30〜40がLancea Sanctumの歴史について。ロンギヌスの槍や天使といった伝奇的な要素も登場するが荒唐無稽に走ることもなく、V:tMのように人間社会の出来事をなんでもかんでもヴァンパイアの仕業としてしょいこんでしまうようなこともなく、現代物TRPGの歴史設定として無理のない、使いやすい設定になっている。
ものすごく乱暴にまとめると、Lancea Sanctumの創始者は十字架上のキリストを槍で突いた百人隊長ロンギヌス(Longinus)である。彼は神の子の血を唇に受けたために呪われてヴァンパイアとなった。その後、キリストが蘇ったという噂を聞き、本当かどうか確かめようとキリストの墓を訪れる。すると大天使Vahishtael(ヴァヒシュタエル)が現れ、ヴァンパイアとは、神が人類に罪の報いのなんたるかを知らしめるために地上へ生ぜしめた「選ばれし呪われた民」である、と啓示を伝える。
自らの存在意義を知ったロンギヌスは喜び、この啓示を他のヴァンパイアにも伝えようとしたが、生前無学で嫌われ者の男だったから途方に暮れてしまった。そこで弁の立つ学者Monachus(「修道士」)を〈抱擁〉し、彼から学問を教わるいっぽう、彼に神の啓示を説いた。やがてお互いに学ぶべきものは学んだと考えた二人は別れ、ロンギヌスは荒野に去り、Monachusは伝道の旅に出る。
Monachusはロンギヌスの教えをThe Testament of Longinusとして書物にまとめるいっぽう、自らも5人を〈抱擁〉して弟子とし(後にThe Five Martyrs(五殉教者)として知られるようになる)、エルサレムで布教活動を始める。彼らが最初のミサを行った紀元232年がLancea Sanctum誕生の年とされる。しかしローマを牛耳るCamarillaのヴァンパイアたちに迫害され、テーベに逃れた。そこでファラオの墳墓を地下礼拝堂として密かに活動していたが、そこへ天使Amoniel(アモニエル)が降臨し、彼らを地下洞窟へ導いた。そこには壁一面にヒエログリフでびっしりと魔術の秘儀が記されていた。Lanceaが使用する儀式魔術がTheban Sorceryと呼ばれる理由がこれだ。
迫害をうけ多数の殉教者を出しながらもLancea Sanctum自体は常に生きのこり、中世にはInvictusと結託し、ロンギヌスの聖槍を安置したThe Black Abbeyを中心として欧州全土に広がる。だが947年、Monachusが弟子の裏切りに遭って滅び、The Black Abbeyは炎上、聖槍は混乱の中で行方知れずになる。
18世紀になると、メキシコにロンギヌスが現れたというまことしやかな噂が流布したのを機に、Lancea Sanctumの本格的なアメリカ進出が始まる。当初は旧大陸で権力を握っていたLanceaの進出を快く思っていなかったアメリカのヴァンパイアたちだが、若い血族の説教師が率いる新宗派が大受けして爆発的に改宗者が増え……現代のアメリカはヨーロッパに次いでLancea勢力の強い土地になったという。
コアルールやデモクロニクルを読むとどうも「Lancea Sanctum=カトリック教会」という印象が強いのだが、本書を読むとカトリックというより「もうひとつのキリスト教」という書かれかたをしている。人間が築きあげたキリスト教を「実はそれは血族の……」と手柄を奪ってしまうのではなく、人間社会の大きな出来事の影響を受けながらもあくまで「ヴァンパイアの、ヴァンパイアによる、ヴァンパイアのための宗教」として独自の発展をとげていくあたりが、WoD2.0ならではのアプローチといえるかもしれない。
独自の発展といっても、実際のキリスト教会史をうまくとりこんで「キリスト教っぽさ」は十二分に出している。ローマ時代の迫害、12使徒ならぬMonachusとThe Five Martyrsの伝道と殉教、失われたロンギヌスの槍、世俗権力(≒Invictus)と結びついて自らも権力を得ていく様、異端審問、宗教改革や宗派分裂、新大陸への進出……教会史やキリスト教の各宗派について簡単な知識があれば、随所で「ははぁ、これは◯◯のパロディだな」とにやにやできることうけあい。もちろん、何も知らなくても想像を拡げるにはまったくもって困らないのだが。
p.42〜46が、現代の世界各地におけるLancea Sanctumの活動状況。北米、中南米、欧州、アフリカ、中東、アジア、と6つの地域に分けての紹介である。
本書で初めて導入される「Creed(covenant内派閥)」がたいした説明もなくバンバン出てくるので(名前だけはp.39に出てくるが)、先にp.59〜64の「The Creeds」をざっと読んでおくことをお勧めする。
読むとLancea Sanctumの奥深さが300%(当社比)に
なるので損はしないはずだ。
というのも、コアルールを見るかぎり「カトリック担当」のようにみえるLancea Sanctumが、Creedの導入によってイスラム教やユダヤ教もまとめて面倒見ちゃう「一神教担当」になるからだ。
CreedとはLancea Sanctumの内部派閥で、まあ宗派だと思っておけばおおむねまちがいない。
(更新続く)
![]()
【White Wolf Online】当初はV:tR最初のサプリメントとして発売される予定でありながら、リリースが伸びに伸びていた『City of the Damned: New Orleans』の発売日が5月30日に決まったようだ。White Wolf Onlineのオンライン通販ページでPreorder(予約販売)の受付も開始した。
V:tR基本ルールの巻末には、すぐに使えるサンプル都市としてニューオーリンズの設定が紹介されている。都市の略史、主要NPC血族、派閥、ドメイン、シナリオフックなど、ひととおりのものは揃っているが、『New Orleans』ではそれが大幅に拡充される。というよりむしろ、基本ルールの巻末に載っているのは『New Orleans』の抜粋に過ぎない、といったほうが正しいだろう。
参考:
![]()