骰子回転劇場・転|日記: 教授、日本刀を振り回す
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骰子回転劇場 日記

教授、日本刀を振り回す

時代劇でおなじみの「殺陣」を教えるスクールがあるというので、体験レッスンに行ってきたのだった。意外にこぢんまりしたスタジオで、受付の前のロビーでは年配の男性やら若い女性やらがのんびりお茶を飲みながら談笑している。
「あのう、殺陣道の体験レッスンを予約した者ですが」
「たてどう?」
 受付の男性はぽかんとした顔になった。もしかして日時を間違えたのだろうか。関係ない建物に入ってしまったのか。
「殺陣道のレッスンは、今日は中止なんですよ。先生がTV収録のご都合で来られなくなって……メールで連絡が行きませんでした?」
 朝メールチェックはしたがそれらしきものはなかった。と素直に言うと彼はしきりと恐縮し、たまたまロビーで茶を飲んでいた、講師の助手と常連の生徒にかけあってくれた。彼らが35種類ある型のうち、基礎的なものをいくつか教えてくれるという。

 動きやすい服装でと言われていたので、数年前にアメ横で購入した、侍のイラストと「切捨御免」の文字とがでかでかと描かれたTシャツを持っていった。軽い洒落のつもりだったが洒落にならないほどウケた。着替えて出てきた私を見て、助手氏も常連氏も大爆笑、受付の女性に至っては涙を流して笑い転げながら
「それ、どこで買われたんですか? まさか今日のレッスンに合わせて?」
 と聞いてくる。私だってよもや切り捨て御免のTシャツを着て切り捨て御免を実演することになるとは思わなかったさ。

 正座してレッスン開始の挨拶をした後、木刀を使って基本の型をさらっていく。刀に手をかけて鯉口を切るところから始まって、抜刀して青眼の構え、振りかぶって上段、切っ先を降ろして下段、刀を立てて八双の構え、やなぎで受け流し、刃を返して真っ向斬り……と、あとで数えてみたら10通り近くの型をやっていた。

 武道などやったことがないので、木刀の刃と峰をしょっちゅう逆にして「それじゃ自分を斬っちゃいますよ」と注意される。それでもどうにか型の名前と動作が一致してきたところで組み手(斬り合い)に入る。二人で斬る役と斬られ役を交互に演じるわけだが、どちらも基本の型を演じているだけなのに斬り合いのかたちになるところに感心した。型というのはまことによくできている。

 最後は簡単な台詞付きで短い立ち回りを演じることに。私がならずものに襲われ、やむなく刀を抜いて迎え撃つ。上段の構えで詰め寄ってくる相手の胴を横なぎに切り払う。刀を鞘に収めると同時に、ならずものがどっと倒れる……という筋立てである。
 助手氏がどこからか効果音用の機械を持ち出してきてくれたので、斬りつけるとちゃんと「ザシュッ」「ドシュッ」「ガキーン」と音が鳴る。刀も木刀ではなくちゃんと鯉口を切って抜ける竹光を使う。たぶん台詞付きという点で大半の人は照れるのだろうが、こちとらTRPGで長年鍛えた身である。オカマから狼男まで何でも演じてきたストーリーテラーとしては、侍なんていうまともな人間の役であるだけむしろ大喜びだった。

 ちなみに、刀を鞘に収めると同時に斬られ役が倒れる、というお約束だったので、リハーサルでは斬られ役の人がもたもたしている私を腹をおさえながら「まだ? まだ?」と横目でうかがって、斬られて十数秒も経ってからやっと倒れるという、チャンバラというよりコントのようなNGシーンも。

 けっきょく2時間ほど稽古をつけてもらったわけだが、これまで本や映画で見た知識しかなかった剣闘というものを実際に体を動かしてなぞってみると、目から鱗が108枚ほど落ちた思いである。青眼というのは切っ先を相手の喉に向けるので意外と低い構えであるとか、剣の間合いはちょうど切っ先から刀一本分とか、ここに来なければ一生わからなかっただろうことも色々あった。なにより武器を振り回すこと自体が単純に楽しく、もう一回ぐらい行ってもいいかな、と思った。
 今後わたしのストーリーテリングで剣戟シーンが出て来たら、前よりちょっとだけリアリティが増すかもしれない。

posted at 12:08 am in 奇妙な日々

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World of Darkness に関する海外ニュースを Professor がときに適当な翻訳でお届け。名前が日記なのは骰子回転劇場・転の日記コーナーだった名残。実質上WoD2.0対応の回転劇場なので改名検討中。