ひさしぶり。
長い髪をなびかせて颯爽と自転車を走らせていく女性が口にくわえたタバコならぬ細いストローの先っちょに三角パックの牛乳がからんからんと揺れていた。
彼女は両手をハンドルにかけており、従って三角パックを支えているのはその直径2ミリに満たないストロー一本なのだが、牛乳パックはストローの先端3ミリにかろうじて引っかかり今この瞬間にも振動ですっぽ抜けそうなありさまだ。
かつてこんな繊細なバランスを保って走る自転車があったろうか。そのことを自覚しているのかいないのか、彼女は咥えたストローを微動だにさせず昂然と頭を上げて走り去った。
口の先7センチのところに三角パックの牛乳をぶらさげて。
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