骰子回転劇場・転|日記: レビュー 『Chicago Workings』
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骰子回転劇場 日記

レビュー 『Chicago Workings』

Chicago Workings とは?

PCの近所に越してきた新しい隣人。それは風水師ふたりが半世紀あまり繰り広げてきた暗闘の、最終決戦の幕開けだった。シカゴすべてを巻きこむ魔術戦争の行く末は、PCたちの手に……。

『Chicago Workings』はワールド・オブ・ダークネスを背景世界とし、ストーリーテリング・システムで遊ぶための、一話完結シナリオだ。プレイヤー・キャラクターが人間/mortal という前提で作られているため、『ワールド・オブ・ダークネス』基本ルールさえあればプレイできる(ただし『Chicago Workings』は英語版)。

難易度と傾向

消費経験点0〜34点のキャラクター向きで、難しい謎解きはほとんどなく、高い戦闘力や交渉力も必要としない。作りたてのキャラクターや、WoDに不慣れなプレイヤーに適している。人数指定はないが、4人前後が適当だと思う。

舞台設定

アメリカ合衆国、シカゴ市。予備知識は必須ではないが、実在の地名や建物が関わってくる。地図や旅行ガイドを見せながら状況描写するとイメージの食い違いを防げるかも。

プレイヤー・キャラクターの前提

特定の技能や能力がないと行き詰まるという心配はない。そのためコンベなど「どんなキャラクターが来るか当日までわからない」セッションに向いている。ただ、PCが離れて暮らしていると導入が面倒なので、同じアパートに住んでいる、または家が隣同士という設定でキャラ作成してもらうのが無難だろう。

WoDの一般人が現実の人間と同じぐらい超常現象を信じていないという点は、はっきりさせておいたほうが、起承転結が引き立つ。

セールスポイント

起承転結の「転」、つまり一般人であるPCを日常から超常の世界に引き込むp.30〜32の演出が非常に美しい。ここだけ切り取って映画にしたいぐらいだ。また、TRPGではあまりお目にかかれない類の「魔術」が登場するので、他のホラーTRPGとの違いを主張したい向きにもお勧め。

ほんとうに必要な情報はすべて向こうからやってくるので、情報収集のやりかたがわからない初心者とか、ささいな情報収集に時間をかけすぎるプレイヤーへの対策にもなる。その情報を得た上でどう行動するかはPCの決断に任されているので、強制感もあまりないだろう。

シナリオの構成

p.18のフローチャートが示すように、始めと終わりは決まっているが、途中はどういうルートを通ってもかまわない。巻末には各シーンの内容を小さなカードに要約したシーン・カードが付属し、情報の出し忘れや、重要な判定方法を容易にチェックできる工夫が施されている。

p.1-2 はシナリオ本編に直接関係のないイメージテキストなので、地名や人名がまったく分からなくても心配ない。実は『WoD: Chicago』に紙数の関係で掲載されなかった幻の短編小説だそうで、本シナリオはこれに触発されて生まれたという。

p.18まで事件の真相とNPCの説明が延々と続く。シナリオはいつになったら始まるのかと不安になるが、実はここが最も重要で、シナリオ構成要素すべての解説になっている。2つの蘊蓄は、PLに完全に理解させる必要はない。「なんだかわからないが背後に複雑な理論があるらしい」程度のはったりがかませれば、充分。

p.19からシナリオ本編となる。ほとんどの要素は説明済みなので、各シーン1〜2ページ程度で流れを説明する程度。「そのシーンにSTがやるべきこと」「PCに達成してもらうこと」「問題解決への障害/手助け」と、演出に使えそうな状況や推奨判定が並べられていて、具体的な進行はSTの裁量に任されている(p.18までが重要だと言ったよね?)

マスタリングのしやすさ

鍵となるNPCに感情移入してもらえるかどうかがシナリオ全ての成否を握る。また、序盤で脱線を許すとダレやすい。この序盤を乗り切るためのマスタリング技術はp.19に紹介されている。PLがハメられたと気がついた時にはすでに脱線する余地がない、という悪魔のようなテクニックだが、うまくやるには何度か試行錯誤が要りそうだ。

敵キャラはデータ的には笑っちゃうぐらい古典だが、描写を工夫して未知の気味悪さを醸し出している。人間が相手にするには若干固いかな、とも思うが、おそらくPCが4人いれば人数差で押し切れるだろう。

カスタマイズ

舞台を他の国や都市に移すことは可能だが、都会で、それも区画整理や再開発を繰り返して現在の形に発展してきたところ、というのが必須条件だ。レトロな建築と現代的なビルが同居しているような場所ならなお望ましい。東京や京都のように、都市設計に呪術的な意図があったといわれる土地ならWoDらしさが出そうだ。いずれにせよシカゴ以外を舞台にするなら、p.30-32の全面変更が必要となる。

人間向けシナリオだが、PCが超常種族(ヴァンパイア/ワーウルフ/メイジ/プロメシアン)でもそれなりに遊べる。特に作りたてのメイジキャラにはぴったりの設定だ。超常種族で遊ぶ場合、PCの動機付けを変える必要があるが、p.10にガイドラインが示されているので調整は楽だろう。

エラッタ

  1. p.16, 左側, 「Attributes: Power 4」→「Attributes: Power 3
  2. p.30, 左側, 下から5行目の「p. XX」→「p.12」

(著者確認済み。情報はWhite Wolf Forums

制作秘話

著者 Will Hindmarch が、このシナリオを執筆するに至った顛末を公式フォーラムで語っている。ネタバレを含むので注意。

入手方法

オンライン限定販売の電子書籍なので、書店やゲームショップには売っていない。DriveThruRPG.com からPDF書類として有料ダウンロードすることになる。日本円で概ね800〜900円ぐらい。他シリーズのシナリオと3本セットで買えば100円ほどお得になる。

総評

WoDらしさがあって、単発で、世界設定を知らない初心者でも遊べる、という希有な特性を兼ね備えたシナリオだ。基本ルール1冊されば遊べるというのもお得感が高い。またSAS共通の特長として、PLにとってもSTにとっても「何をやればいいのか」がわかりやすい設計になっており、これまで「WoDって難しそう」と二の足を踏んでいた人にもとりつきやすいと思われる。

posted at 10:09 pm in SAS, in WoD2.0, in 奇妙なレビュー

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World of Darkness に関する海外ニュースを Professor がときに適当な翻訳でお届け。名前が日記なのは骰子回転劇場・転の日記コーナーだった名残。実質上WoD2.0対応の回転劇場なので改名検討中。