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骰子回転劇場 日記

『ワールド・オブ・ダークネス』日本語版基本ルールにおけるサップ・グローブ

昨日のエントリで sap glove を幻の武器として取りあげたが、日本語版では逆に sap の方が「幻の武器」になっている旨、指摘を頂いた。昨日の記事は日本語版しか持っていない方にはチンプンカンプンだったと思われるので、もう一度整理しよう。

WoD日本語版の武器表に「サップ・グローブ」という手袋の一種らしき武器が載っているが、これは英語版では「サップ」という棍棒のことである。

WoD基本ルール英語版『The World of Darkness』では、p.69 Brawl 技能の項に「sap gloves」という武器が例示され、修正は+3となっている。しかし p.170 の Melee Weapon Chart には「sap」という修正+1の武器が存在するだけで、これは Weaponry 技能でしか扱うことができず、sap gloves なる武器はどこにも存在しない。追加武器データ集『World of Darkness: Armory』にもやはり、sap のみがあり、sap gloves は収録されていない。

しかし日本語版『ワールド・オブ・ダークネス』では、p.75 の格闘/Brawl 技能の修正サンプルとして「サップ・グローブ(+3)」が存在し、p.190 の武器表の sap は「サップグローブ(打1)」と翻訳されている。つまり、日本語版では sap のほうが「存在しない武器」になっているのだ。

sap と sap gloves は全く別物の武器だ。sap gloves については昨日の記事を見ていただくとして、sap を辞書で引くとこうある。

sap 《俗》棍棒(blackjack)—— リーダース英和辞典

同じ「棍棒」と訳す club と違いが分かりにくいので付け加えると、club が木製であるのに対し、sap は鉛などの重りを革でくるんだもので、昔は英米の警官が警棒としても使っていた。下はイギリスの警官が使っていた sap の実物写真。

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別名 blackjack とも呼ばれる理由は Wikipedia にも詳しい。持ち歩いても目立ちにくく、打撃音が鈍いことから、かつては背後から人を殴り倒して金品を奪う強盗が使ったともいう。WoDの武器表に気絶効果付きで載っているのは、このことを反映したものだろう。

White Wolf が 武器表の sap をサップ・グローブの略称でなく棍棒の一種として扱っていることは、『World of Darkness: Armory』を見ても明らかだ。このサプリメントには基本ルールの武器データが再録されているだけでなく、それぞれどのような武器であるかの説明も載っている。

Sap: The sap is usually palm-sized flat "bag" of leather filled with lead shot or powder. For a small weapon, though, it packs a big wallop. The sap used to be part of every cop's arsenal about 20 years ago.

サップ:おおむね手のひら大の平たい革袋に鉛の玉や粉末を詰めたもの。武器としては小型ながら、かなりの打撃力を秘めている。20年ほど昔は警官の(鎮圧用)武器として欠かせないものだった。—— World of Darkness: Armory, pp. 28-29

武器表のsapを「サップグローブ」と訳したことにより、日本語版では英語版にない問題が生じた。つまり、同じサップグローブがp.75では+3修正、p.190では+1修正という矛盾ができてしまったのだ。#wod-jpでは「p.75の+3はダメージ修正とは書いてないから、ダメージ修正とは別途に+3、つまり合計で修正+4の武器になるのでは?」という解釈も出た。どの数値をとるかはストーリーテラーの判断によるだろう。

なお、sap/サップグローブの気絶効果については『Armory』では若干修正され、頭部狙いの攻撃でなくとも、ダメージが対象の〈体力/Stamina〉以上であれば対象は次の行動権を失う、となっている。基本ルールの気絶効果は、頭部狙い(ー3)の攻撃で、かつダメージが対象のサイズ/Size値以上でなければ現れない。人間の標準サイズは5なので、成功率は非常に低い。これが不満なストーリーテラーは、Armoryの新ルールを採用してみてはいかがだろうか。


World of Darkness に関する海外ニュースを Professor がときに適当な翻訳でお届け。名前が日記なのは骰子回転劇場・転の日記コーナーだった名残。実質上WoD2.0対応の回転劇場なので改名検討中。