骰子回転劇場|日記 VampireWerewolfWraithWoDIn Nomine
幼童にもできる社会戦  
本文中、*(アスタリスク)を付した語は、公式日本語版に適切な訳語が見つからなかったために、訳者が便宜的に当てた非公式の訳語です。

 はじめに――復讐するは我にあり

たとえばあなたが、トレアドールの参議に服の趣味を笑われ、公子には「おまえに継嗣創造の権利を認めるぐらいなら猿にくれてやったほうがましだ」と言われ、ヴェントルー氏族によってたかって出世計画を台無しにされ――奴らに復讐してやりたい、と思ったとする。しかし、あなたはまだ新米だ――血族としても、『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』のプレイヤーとしても。どうやらこのゲームではありとあらゆる陰謀を張り巡らせるものらしいが、他の血族に復讐するためにどんな手段があるのか、どうやって実行するのか、そもそも計画段階でばれないようにするにはどうしたらいいのか、よくわからない……

そんなあなたにこの先を読んでいただきたい。きっと役に立つはずだ。

この手引きは『Laws of the Night』を使って遊ぶライブアクション→注1・プレイヤーを想定して書いたので、分野別〈影響力〉などといった基本ルールブックに登場しないルールの話にも触れているが、ここで紹介するコツ、手口、仕掛けはテーブルトップ→注2で遊ぶ場合にもほぼそのまま使えるはずだ。形だけは、私(筆者)のサイトに載せる都合上、ライブアクション向けにしてあるが……マーケティングの専門家(私の夫)の助言もあったので。

ここに書いたことはみな、あなたが敵を陥れる計略を練るためのたたき台にすぎない。私が挙げた案にこだわる必要はない。この手引きはあくまで、どこから手をつければよいかという糸口のいくつかを示すだけ――ヴァンパイア社会を生き抜き、群がる血族どもを出し抜くために、キャラクターができることはもっと色々あるだろう。

 復讐の基本

 「ここだけの話」は禁物

私は1991年からライブアクションで遊んでいるが、経験から学んだ苦い真実としてこれだけは特に強調しておきたい。

「秘密を漏らされたくなければ、話すな」

これはキャラクターの言動にもプレイヤーの言動にもいえることだ。

ライバルの面目を潰すとか、寝処を壊すとか、グールを横取りするとかいった陰謀を何時間もかけて練りあげた直後には、とかくそれを言いふらしたい衝動にかられるものだが、実際にやりとげるまではじっと我慢しよう――たとえプレイヤー発言でも黙っておくほうがいい。プレイヤーもしょせん人の子である。もし、あなたがキャラクターAを破滅させる陰謀を練っていることをAのプレイヤーが漏れ聞いてしまったら、キャラクターAが突然あなたのキャラクターをやたらと警戒しはじめるようになっても不思議はない。たしかに、これはフェアといえない――だから良識あるプレイヤーのほとんどはプレイヤー知識とキャラクター知識を区別するよう努力する――だが人間とはそういうものだ。発覚の危険を最小限に抑えるためにも、陰謀は自分の腹にしまっておこう。

言うまでもないことだが、どうしてもキャラクター発言で陰謀をほのめかしたいなら、話す相手はよくよく選ぶこと――誰が陰で敵に協力しているかわからないものだ……

いちばんいいのは、あなたがセッション中もそうでない時もしっかり口をつぐみ、セッション後の集まりでも意味ありげな笑みを浮かべるだけにとどめておくことだ。相手をへこませて勝ち誇りたいなら、計画を実行した後でいくらでもできる――口を滑らせたばかりに計画倒れになってしまっては元も子もない。

 長期的な目標を持つ

ヴァンパイアは不老不死だ――滅ぼされないかぎり。抱擁後3年生きのびたら、もう50年は生きのびる――などと昔から言う。たとえあなたのキャラクターがまだ1、2回しかセッション経験のない作りたてでも、長い目で見た将来のことを考えてやろう。

短期的にしろ長期的にしろ、キャラクターの将来の目標を立てるときには(復讐だって目標のうちだろう?)、その目標を達成するために何が必要になるかも考えておく。こういうと誰もが欲しがるのが最高レベルの【訓え】や【能力】だが、それさえあれば何でもうまくいくというわけではない。ヴァンパイアの真の力は――特にカマリリャ・ヴァンパイアの場合――人間社会を思い通りに動かせることにこそある。平たく言えばこうだ――生き残り、勝ち残りたいと思うなら、〈影響力〉と〈従僕〉を手に入れろ。〔尊厳〕や11点目の【精神】よりも、キャラクターの銀行口座を管理してくれる気の利いた従僕のほうがよほどありがたい存在になるかもしれない。

 小さなことからコツコツと

たしかに、キャラクターのこれからの行動を考えるにあたって、長期的な目標をもつのは大切なことだ。しかしそれだけでは時々飽きがくるのも確かである。これを避けるには、長期目標を細かく段階に分けて、1シナリオ以内に達成できるような中間目標を立てるといい。

 うまい奴からコツを盗め

ローマは一日にして成らず。血族社会で30年も生き抜いてきたヴァンパイアを、まだ20代で、かけひきの経験はせいぜい陰険な同僚たちとわたりあう程度のゲーマーが演じようとしても、難しいのはしかたない。もちろん血族社会で何年も(実時間で)揉まれていれば、そのうち他の血族を出し抜くこつも身につくだろうが、もっとてっとりばやい学習法もある。おすすめは後者だ。

  1. 古参プレイヤーに助言を求める。一緒にコーヒーでも飲みながら、彼らが「いやぁあの時は参ったね、それで僕は……」などと語る体験談の数々に耳を傾けよう。こういうプレイヤーは年季が入っている分、ルールの抜け道や、人物観察術や、血族社会で起きる諸々の事態への対処法を心得ている。あなたのキャラクターが置かれた状況と使えるものを説明し、彼らならどうするか尋ねる――そして彼らがキャラクター知識とプレイヤー知識をしっかり区別してくれることを祈ろう!
  2. 古参プレイヤーのキャラクターに助言を求める。1と似ているが、決定的に違うのは――古参キャラクターに頼って成功を狙う点だ。もちろん、この方法は代償を伴う――〈血の契り〉による服従をはじめ、どんな見返りを要求されるのも覚悟しなければならないだろう――だが仕事を覚えるには仕事中の師匠を観察するのがいちばんだ。学ぶべきことは学んだと思ったら、実地演習として師匠をこの世から葬り、さらに上の段階へ進む。
  3. 映画を見、本を読む。この手引きの最後に、簡単ながら「推薦資料」のリストがついている。陰謀好きな血族たちの思考や手口がよくわかる作品ぞろいだ。

 物と人を使いこなす

 使えるものは何でも使え

長い章になってしまうが、なにぶんヴァンパイアが利用できる手段は多種多様なので、我慢しておつきあいねがいたい。

たしかに陰謀渦巻く血族社会においては、他人に頼らず、隙を見せないようにしていかねばならないし、それでも落ちこぼれないだけで精一杯だろう。だが世の中には、セッション中にもセッションの合間にも使えて、ライバルに一歩差を付けられる手段というものもある――要は使い方の問題だ。

 自分でやれることは自分でやる

あなたが立てたキャラクターの行動計画が明確で堅実なものなら、すぐにでも血族社会での足場固めにかかり、目標に向かって動きだせるだろう。とはいえ初めはまず間違いなく他のヴァンパイアの力を借りる必要が出てくる。頼みごとをするなら、どうしても必要な場合だけにして、借りを作りすぎないように。

その一方で、他人に頼る部分をなるべく減らす努力をする。つまり、目標に達するためにいつも必要になる手段や影響力を見きわめ、できるだけ早く手に入れるのだ。例えばトレアドールが夜遊びの達人になりたければ、ナイトクラブの評判を簡単に上げたり下げたりできる、社交界への〈影響力〉やマスコミに顔が利く友人がどうしても欲しくなってくる。ヴェントルーが大出世しようと思ったら、経済界へのコネや大口の銀行預金は欠かせない。あなたのキャラクターに何が必要かわかったら、シナリオの合間の時間を使って(もちろん〈経験点〉も費やして)それを手に入れる。コネを1つ増やすごとに、別の血族に口利きを頼まねばならないコネを1つ減らせるのだ。

 ヴァンパイアにただ働きをさせるな

当然至極の事実だが、ヴァンパイアにとって最も有用な道具は他のヴァンパイアだ。たしかにヴァンパイアが同族に手を貸すことはあるが、理由はたいてい、そうすることが自分の利益になるからだ。ヴァンパイアの人間性や誠意に訴えて無償で協力してもらおうとすれば、肝心の時に頼りにならなかったり――最悪、裏切られたりするかもしれない。

目標達成のために他のヴァンパイアの協力を仰ごうと思ったら、まず次のように自問してみる。そのヴァンパイアにとって、協力したらどんな得があるか? あなたのキャラクターは相手が欲しがるような見返りを差し出せるか? もし無理なら、そのヴァンパイアからの協力は期待しないほうがいい。

 恩貸制:恩義は売っても売られるな

これは前述の「ただ働きをさせるな」に含めてもいいようなルールだ。恩貸制というのはややこしいもので、これだけで独立した小論文が1つ書けてしまう。それに、たしかホワイト・ウルフ社は恩貸制の使い方についてかなり詳細な記事を発表していたはずだ→注3。とりあえず、ここでは私なりの心構えを紹介しておく。

自分のキャラクターより地位の高い血族に協力を求められたら快く引き受け、恩義を返してもらうのはできるだけ後にする。特に「大きな恩恵」や「命をかけた恩恵」→注4は、クレジットカードの高利貸し付けのようなものだ――借りれば利子を払うのに精一杯で、負債自体はいつまでたっても減らない。うまくやれば、相手に恩義を負わせたまま、さまざまな要求をのませつづけることも可能だ。

自分より地位の低い血族に援助を与えるのはよく考えてからにする。相手は借りを作ることを潔しとしないだろうし、それが血族社会の底辺にいるような連中なら、お返しにできることといっても多分たかが知れている。とはいえ、もし援助を求めているのが地位は低くても今後急速に出世する見込みが高い者なら、長期投資のつもりで恩義を売っておく。

カマリリャ・ヴァンパイアの口約束は証文も同然で、恩義を踏み倒すことは血族にとって最大級の背信行為だ――とよく言うが、たいていのプレイヤーは借りを返さないままはぐらかすことなどなんとも思わない。それを他の者が責めなかったとしても別に不思議ではない。ほら、情けは人のためならず、と言うし……

また、他のヴァンパイアもあなたと同じく「恩義は売っても売られるな」と考えていることを忘れてはいけない。どうにか援助をとりつけたはいいが、その後延々と恩義に縛られるはめになったというのもよくある話だ。しがらみを清算するために血族ならではの別手段――宮廷雀――も利用する覚悟をしておこう。

 汝の敵を知れ

グールでも、〈影響力〉でも、ノスフェラトゥでも、とにかく持てるかぎりの手段を使って敵を調べあげよう。情報を揃えれば敵の手口や目的を推測できる。敵がトレアドールで快楽主義者という噂があるなら、快楽主義者が好みそうなナイトクラブを探せば、敵のごひいきの店や〈餌〉が見つかるだろう。とあるベンチャー企業支援基金を私物化しているヴェントルーが敵なら、そのお仲間やコネを調べるには有名どころのベンチャー企業ネットワークの会合を回ればいい――ついでに最近あなたの縄張りに基金の援助を受けた新興ベンチャー企業が進出していないか気をつけることだ……

敵の関心や目的がわかっていれば、のちのち敵の協力者を買収する必要が生じたときにも、どういう手段が使えるか推測しやすい。

 敵の敵を利用しろ

敵の敵が味方とはかぎらないが、武器として使えるのはたしかだ。けしかけてやれば代わりに手を汚してくれる奴がいるのに、わざわざ自分で首を突っ込む理由がどこにある? もちろん、この方法にも危険はある。けしかけた奴があなたを裏切りたい誘惑にかられないように――裏切りはたいてい、あなたが示した利益を捨てても欲しいと思うような利益につられることで起きる――敵の敵を計画に引きこむ前には、念には念を入れてそういう要素を調べあげておくこと。

 グール――重宝な手足か、獅子身中の虫か

グールは役に立つ。昼間のボディガードにもできるし、主人が把握しきれない地域の情報収集にあたらせてもいい。だが本質的に人間であることが時には不利にはたらく。おすすめは、グールを飼うなら他の血族に内緒でやることだ。誰をグールにしているか、なるべく知られないように――グールだとわからなければ、グールとしての弱点を利用される恐れもない。

一方で、敵のグールをおおいに利用して主人を裏切らせよう。主人とすり替わってあなたの血を飲ませる――こうすればわずかながら主人への血の契りを断ち切れる可能性がある――ただし、あなたと会った記憶を消しておくのを忘れずに!

敵のグールを捕らえて情報を搾り取ろう。グールはしばしば、昼間に寝処の警備をしたり、主人の活動について多くの内部情報を知っていたりする――貴重な情報源だ。用済みになったグールは――記憶を消せないなら――殺すこと。死体は一片たりとも残してはいけない。

グールの最高の使い道は、そのままスパイにすることだ――定期的に報告させ、その後で記憶を消す。さらに洗練された手法として「偽グール」にするというのがある。いかにも敵がグールにしたがりそうな人間を、あらかじめ血の契りで自分に呪縛しておく。うまくいけば敵はその人間が自分のグールになったと思いこんで、安心して秘密を漏らしてくれるだろう。

原則として、他人のグールを逆用するのは、あなたのキャラクターが《支配》に長けている場合に限ること。一歩間違えれば、グールは逃げだして主人に泣きつき、結果としてあなたのキャラクターの余命を急速に縮めることになるだろう。

 〈影響力〉は何の役に立つのか?

これは初心者プレイヤーには把握しづらいところだ。いくらでも使い道が考えられる特性値だけに、持てあましてしまうことも多いだろう。そこで、〈影響力〉の分野→注5の中でも『Laws of the Night』に掲載されている一般的なものについて、血族に対する使い道を紹介していこう。もちろんすべてを網羅はできないが、発想のきっかけにはなるだろう。

 影響力:官僚* Bureaucracy Influence

これは私のお気に入りのひとつだ。低レベルでも色々使える。

  • ヴァンパイアにはたいてい決まった寝処があるものだ。敵が持ち家を寝処にしているなら、この〈影響力〉を使えば敵の名義の不動産登記書類を探し出せるかもしれない――特に幼童なら不動産を買うとき莫迦正直にも本名を使った可能性があるからだ。
  • 敵の土地を再開発対象にしてやろう。インターチェンジや市民公園を造るために寝処が取り壊されるとあれば、敵は困難に――おそらくは死活問題に直面するだろう。ブルドーザーは昼間に走らせるように。
  • 敵は自営業をいとなんでいるだろうか? それなら営業許可証など各種届出書類が郡役所にあるはずだ。そういう書類からは色々と有益な情報が得られる――敵の懐具合から住所の手がかりまで。
  • 敵が自営業者なら、せいぜい商売の邪魔をしてやろう。手段はいくらでもある――保健所の訪問、職業安全衛生局の調査、環境保護庁の抜き打ち検査等々。その調査員の一人をあなたのスパイにしておけば、調査で判明したことをこっそり教えてもらうことだってできる。あるいはもう一押しして、敵を廃業に追い込んでもいい。
  • 一部の血族は、わざわざ偽装工作をして、人間社会では自分が死亡したことにしている。郡役所に顔を利かせて、敵の死亡証明書と検認済み遺言書を探してもらおう。相続人や遺言執行人に関する記述は、敵との争いに利用できる人間を見つける手がかりになる――運が良ければ、敵が今も気にかけている家族がいるかもしれない。あてがはずれたとしても、敵の弱点や習慣についてなにがしかの有益な情報が得られる見込みはある。
  • 行政機関の多くは政治より官僚に縁が深い。自動車局や地元の都市計画委員会、国税庁といったところにコネが欲しいなら、すべて〈影響力:官僚〉*の管轄だ。

 影響力:宗教* Church Influence

〈影響力:宗教〉*はとかく両刃の剣になりがちだが、安全な使い方を考えてみよう……

  • シナリオの舞台が保守的な土地柄――辺鄙な地方や、聖書原義主義が根強いアメリカ南部・中西部など――なら、司祭の耳にちょっと悪口を吹き込めば敵の評判を台無しにしてやれる。21世紀の今なお、教会は近隣住民の情報交換の場であることが多いからだ。この攻撃は特に人間相手の商売を営む血族に対して有効である。
  • 誰でも思いつきそうな手だが、てっとりばやくヴァンパイアの動きを封じるには、そいつが悪魔崇拝カルトを主催していると地元の聖職者に密告することだ。仮面舞踏会を危険にさらす覚悟があるなら、真実を教えてやるのもいい。効果は絶大だが、それがすべて自分に跳ね返ってくる可能性もきわめて高い。ハンターたちはおそらくあなたの敵を狩っただけでは満足しないだろう。
  • 教会の説教壇は扇動演説の演台としても手頃だ。もし敵が犯罪組織など社会の後ろ暗い方面に関わりをもっているなら、善良な人間たちの正義感を煽ってやろう。これは防犯意識を高め、地域の犯罪抑止への追い風にもなるだろう――敵は収入と影響力と野心を大幅に削がれることだろう。

 影響力:企業/産業* Corporate/Industorial Influence

これも用途の広い影響力だ……

  • 敵がどこの業界に影響力を持っているか調べ出す。同じ業界に進出し、昔ながらの市場競争で敵の勢力基盤を潰す。あるいは、敵の支配下にある会社にあなたの配下をもぐりこませて内部から壊滅させる手もある。たった一人の会計係が意図的に横領を行うだけでも、莫大な損失を与えられる。
  • あなたのキャラクターがどの業界に影響力を持つかを決めるときはよく考えよう。ギャング系のヴェントルーなら、投資銀行より廃車場の株主になった方がなにかと便利かもしれない。
  • ある種の企業は敵の動向を探るのに使える。データバックアップ/修復/廃棄業者などはまさにうってつけだ――紙屑や廃棄ハードディスクの山を漁ることをものともしない、我慢強いグールがいれば。また、警備会社やメイド派遣会社を買収しておくと、通常なら不可能な場所にグールを潜入させることができる。
  • 広告代理店はヴェントルーの企業家やトレアドールの社交家に対する有効な武器になる。敵の評判を落とすようなデマを流させるのだ。
  • 血族はたいてい決まった寝処を持ち、ベッド脇に読書灯を置きたがる――そこで地元の電力会社に手下を潜りこませよう。顧客名簿の名前と住所から、敵の寝処が意外にあっさり見つかるかもしれない。もし電気代が小切手で支払われているなら、敵の経済状況も推測できる。
  • 基本的なことだが、キャラクターに事業を始めさせるなら、【背景】の〈別の顔〉→注6を使って別名義で会社を作るか、充分に保護されたグールを社長に立てること――さもないとキャラクターが前述の〈影響力:官僚〉*による攻撃の的になってしまう。

 影響力:金融* Finance Influence

たいへん重宝な〈影響力〉だ……

  • 銀行の出納係にコネがあると、例えばこんなことができる。私がよく使う手口のひとつだが、身辺を調べたい人物を何かに雇うか、金を借りて返済する。要は何でもいいから口実をつくってその人物宛の小切手を書くのだ。そして出納係に金の振込先を調べさせれば、相手の銀行口座番号がわかる。相手の口座がある銀行にコネがあれば万々歳だし、そうでなくてもコンピュータのキーボードをちょいと叩けば口座名義人の連絡先住所が現れるという寸法だ。
  • 銀行口座から血族の住所を調べようとしたら、連絡先が私設私書箱だったり、デッドドロップ→注7になっている無関係な郵便受けだったりして、手がかりが途切れてしまうかもしれない。この先はそいつの口座がある銀行にコネが必要だ。そいつだって寝処に電気や電話ぐらいは引いているだろう。そこで〈影響力:企業〉*を併用して、そういう公共サービスの使用住所を調べさせる――地元の電気会社や電話会社は、料金の請求先住所だけでなく、実際に電線を引いたり電話を取りつけたりした場所を知っているはずだ。当然、そこが相手の寝処である。
  • 敵が口座を開いている銀行に内通者を作っておくと大変に便利だ。敵が小切手を切った相手も、今現在の預金総額も、毎週月曜の夜にグールをよこして現金を下ろさせることもわかる……
  • 国税局には頭が上がらない、というヴァンパイアもいる。大手の確定申告代行業者か、怪しげな収入源の帳簿管理も引き受けてくれるような融通の利く会計士にコネを作ろう。そこに敵が納税申告を依頼してきたら、申告書類から有益な情報を山ほど得られる。あるいは、当局が査察に来ずにはすまないように書類を改竄させてもいい。
  • 〈影響力:官僚〉*による圧力(これは〈影響力:政治/Political Influence〉*の範疇だと言うストーリーテラーもいるだろう)と組み合わせれば、敵の会社に国税局の強制査察を差し向け、場合によっては銀行口座を凍結することさえ可能だ。いずれにせよ敵は深刻な打撃を受けるだろう。
  • 基本的な注意。上記の策略が自分に対して仕掛けられた場合に備えて用心を怠らないこと。小切手を切るのは、金の行き先を追跡する場合だけにする。小切手払いは絶対に認めない。銀行口座から住所を突き止める手がかりになるものはすべて潰す――連絡先住所は私書箱にし、名義も架空人物にする。なるべくなら衛星通信回線を使っている外資系銀行を利用し、大口の支払いは現金で済ませる。

 影響力:医療* Health Influence

〈影響力〉の中では過小評価されがちな分野だが、ヴァンパイアが何を飲んで生きているか考えてみると……

  • コネを使って市内の貧血症患者の分布を調べてみよう。特定の地区に患者が集中していたら、考えられる可能性は二つ。そこはヴァンパイアたちの格好の狩り場か、一人の飢えたヴァンパイアの餌場か、だ。ヴァンパイアが飢えているということは、攻撃に弱い状態であることを意味する。
  • ヴェントルー氏族など、一部のヴァンパイアは特定の条件を満たす血しか飲むことができない。そういう連中には血液銀行からの供給を絶ってしまえば、たいへん聞き分けがよくなって、何でも頼みを聞いてくれるだろう。
  • あるいは、鬼畜同然のやり口だが、ヴァンパイアの血液貯蔵庫行きになる輸血パックに麻薬を混入しておく手もある。セト人のお嬢さんに、自分が麻薬中毒になるのはどんな気持ちか味わってもらおうじゃないか。
  • グールやコネが事故に遭うこともある――偶然にせよ、仕組まれたものにせよ。現場に最初に駆けつけるのがあなたの息のかかった救急隊員だったら好都合だと思わないか?
  • 他のヴァンパイアが狩りをやりにくいようにしたい? ならば伝染病が流行しているというデマを流して市民を脅かそう――豚インフルエンザでも天然痘でも何でもいい。誰もが外出を控えるようになり、備えをしていない者(あなたの味方を除く)は厳しい状況に追いこまれるだろう。

 影響力:社交界* High Society Influence

トレアドール、ヴェントルー、セトの信徒の動きを封じるには常に有効だ……

  • あの憎いトレアドールはナイトクラブを経営してるって? では社交界の名士たちがわけもなくそのクラブをけなすようにしよう。とかく世間の評判とはそういう節操のないものだ。これは〈影響力:メディア〉*と組み合わせると特に効果的である。
  • 極悪非道にやりたいなら、そのクラブの備品に最新流行の(たちの悪い)デザイナー・ドラッグを潜ませておいて、オーナーの行きつけの店々で同じドラッグを売りさばく。もっと残酷な仕打ちをしたいなら、数週間後ドラッグがオーナーの取り巻きに行き渡った頃を見計らい、警察の麻薬取締班に密告してクラブを営業停止に追いこむ。〈影響力:メディア〉*があれば、その事件をありとあらゆるメディアに流して、傷口に突き立てたナイフをねじってやってもいい。
  • 血族にとって世間の注目は時に厄介なものだ。普段にもまして正体を隠す努力を強いられるからである。例えばヴェントルーの資本家をやっつけたいなら、タコ殴りにするのもいいが、社交界の花形から突然「今注目の独身男性」「若くて将来有望で結婚相手にうってつけ」などともてはやさせるのはどうだろう。資本家氏はどちらを向いても玉の輿狙いのご婦人にまとわりつかれたり、芸能記事にとりあげられたりで、身動きもならなくなるだろう――あなたの思惑通り。うまくすれば、哀れな資本家氏は公衆の面前で狂乱に陥るかもしれない。

 影響力:法律* Legal Influence

  • 犯罪界で活動中の敵がいるなら、地方検事局にコネをつくり、敵の都合の悪い所を狙って押しかけさせよう。
  • 地方検事へのコネは、恩義を返したり売りつけたりするのにも使える――検事の追及をゆるめたり、司法取引を有利にまとめたりして。
  • 裁判官を手なずけておくと何かと便利だ。頼めばすぐ捜査令状や逮捕令状を書いてくれるし、〈影響力:警察〉*で逮捕した相手の保釈申請を却下することもできる。
  • 基本的なことだが、〈影響力:法律〉*と〈影響力:警察〉*は似て非なるものである。

 影響力:メディア* Media Influence

  • 〈影響力:メディア〉*が最大の効果を発揮するのは、他分野の〈影響力〉と組み合わせたときだ――特に〈影響力:警察〉*や〈影響力:社交界〉*とは相性がいい。
  • ベンチャーキャピタル会社を営むヴェントルーが裏で何を企んでいるか知りたい? 調査報道ジャーナリストに頼めば二つ返事で嗅ぎ回ってくれるだろう。好都合にも、この手のジャーナリストは情報源を決して明かさない原則を守っている。しかし念のため、調査費用を提供するときは代理人を立てるか偽名を使うように。
  • ゴシップ記事や芸能記事は偽情報を流すのにもってこいだ。そもそも噂や中傷を流すためにあるものだから当然である。トレアドールの某歌手の最新アルバムでも、某ヴェントルーが設立した慈善基金でも、どこかのセト人が最近開いたクラブでも、電話一本と数センチ四方の紙面で評判をだいなしにしてやれる。
  • トレアドール氏族の者を破滅させるには、しかるべき筋の批評家たちに賄賂をつかませればよい。痛手は後々まで残るはずだ。

 影響力:オカルト* Occult Influence

  • 愚かで、人の言うことをすぐ鵜呑みにする、だまされやすい人々はヴァンパイアにとって絶好のカモだ。コネを使って、悪魔崇拝カルトのニュースに目を光らせてもらおう。血族の誰かが、仮面舞踏会の掟に触れるのもいとわず、儀式の演出のために信者の人間たちの前で公然と血を飲んでいるかもしれない。そういうカルト集団を見つけたら、コネにできるだけ詳しく調べさせ、集めた情報を公子、メディア、またはあなたの敵の敵に流す。
  • ヴァンパイアの中には宗教心を捨てきれない者もいる。そういう連中は、宗教上――キリスト教でもペイガニズムでも何だっていいが――重要な時期が近づくと、祭礼用品を買い求めるだろう。もし彼らが代金をクレジットカードや小切手で払ったら、〈影響力:金融〉*で金の出所を遡れば寝処や経済状況がわかる。たとえ現金払いだったとしても、そいつの宗教はわかるわけで、その知識が後々役に立つかもしれない。信じる心につけこむことはできるのだ……
  • この方面にコネがいると、迷信深さにつけこんで他人を操ることができる。たとえば占星術を固く信じているトレアドールの参議に数日間寝処へ引っこんでいてほしいなら、でっちあげの不吉なホロスコープを一枚「献上」すればいい。ノストラダムスの予言を信じて疑わないマルカヴィアンには、「失われた」予言をでっちあげて取引材料にしてはどうだろう? いんちきオカルトグッズも使いようで大きな効果を発揮するのだ。

 影響力:警察* Police Influence

これまた重宝な〈影響力〉だ。人間の法律を破ったことのないヴァンパイアなんて何人いる?

  • 巡回警官を使って敵のグールにいやがらせをしてやろう。もっと大胆に、敵ヴァンパイア本人を逮捕させてもいい。ただし、ヴァンパイアは留置所に閉じこめられると狂乱しやすく、仮面舞踏会の脅威になりがちなので注意する。あえてそれを狙う手もあるが……
  • 他人に濡れ衣を着せるのに、どうせ都合の良い目撃者を仕立てるなら、親しい刑事にいてもらうにかぎる。刑事に現行犯逮捕されたカモが無実を主張したところで――陪審はどちらを信じると思う?
  • 証拠保管室に出入りできる警官は役に立つ。誰かを罠にはめたいときに、都合のいい証拠物を置いてもらうわけだ。証拠保管室は現金やドラッグの手頃な供給源にもなるし、それはそれで別の使い道がある。
  • 〈影響力:法律〉*で敵の寝処の捜査令状をとった時、家宅捜査に向かうのがあなたの言いなりになる警官たちであれば、ベッドルームで「死体」が見つかり、それがカーテンを開けたとたん灰になったとしても、事の始末はぐっと簡単にすむ。
  • 敵が運転している車のナンバーを控えて、懇意にしている警官に自動車局のデータベースでそのナンバーを検索してもらう。登録があれば、所有者の住所を調べてみよう。ついでにその車が盗難車だと通報して敵を困らせる。
  • 吸血行為にはどうしても餌食を死なせてしまう危険がつきまとうものなので、警察の殺人課に友人を作っておくのは決して損にならない。たとえそこらのサバトが捨てていった全身の血を抜かれた変死体でも、めざわりなライバルに殺人犯の濡れ衣を着せる役には立つ。指名手配のポスターの丸枠に自分の顔写真がはまっているのを見つけたら、ブルハーだって驚くだろう!

 影響力:ストリート* Street Influence

  • 路上生活者は色々なものを見ているし、それをかなり安い値段で――はした金を握らせる程度で――教えてくれる。あるヴァンパイアが好む狩り場を簡単に調べるには、浮浪児たちに金をやって、かくかくしかじかの人相をした奴を見かけたら知らせろと言い含めればよい。
  • 反対に、嘘の証言をさせるのも簡単だ。ヴェントルーの某氏がサバトの大集会にいあわせたことにしたいなら、その辺の街娼に数百ドルも握らせれば何でもお望みの台詞を喋ってくれる。
  • 不動産で儲けているヴェントルーの成金野郎をへこませたい? 〈影響力:ストリート〉*を使ってホームレスたちをそいつが所有する一等地に移住させよう。公共物破損と窃盗をちょっぴり付け加えてやれば、地価を下げてやることができる。
  • ストリートはしばしば犯罪社会との接点になる――特に麻薬密売がらみでは。ストリートギャングにコネを作っておけば、敵が〈影響力:犯罪社会〉*を持っていた場合それに気づける可能性がある。

 影響力:交通運輸* Transportation Influence

  • ヴァンパイアは街を出入りするとき公共交通機関を使いたがらない傾向がある。運送会社を買収して、おかしな夜間輸送の仕事が来たら報告させよう――特に積み込む荷物が非常に少ない場合には。
  • ヴァンパイアの中には仲買業で儲ける者もいる――大量の商品を右から左に売りさばき、自分の小王国を築いているのだ。そんな敵にはトラック運転手組合の幹部を手なずけてストライキを起こさせればいい。敵は手足をもがれたも同然だ――商品が出荷されなければ利益はまったくないのだから。
  • 同様に、航空管制官組合の幹部に山猫ストを起こさせれば、大量の乗客を足止めすることができる。
  • 船を持っている人物と知り合いになっておけば、死体を捨てる時にきっと役に立つ(海辺の街なら、だが)
  • 〈影響力:交通運輸〉*と〈影響力:官僚〉*を組み合わせて、市内の大きな空港の税関や警備会社にコネを作る。彼らは職務としてそこを行き交うカバンや箱を調べることができる――棺だって。

 影響力:犯罪社会* Underworld Influence

これもヴァンパイアに人気がある。

  • ごく原始的な手段ではあるが、〈影響力:犯罪社会〉*を使えば殺し屋の一団に敵を襲わせることができる。返り討ちに遭うのがおちだろうが、あなたが殺されるよりはましだろう?
  • 敵も犯罪社会に影響力を持っているなら、ギャング同士の小競り合いをしかけるのも悪くない。もちろん勝つためには敵方を上回る資金と情報を供給しつづける必要があるが、うまくやれば敵の影響力を削ぎ、あなたの影響力を増やすことができる。
  • 犯罪界のコネは、邪魔な人物を――グールなり、他人のコネなり――消すのにもってこいだ。必要に応じて使い、報酬はたっぷりはずむこと。
  • どんな犯罪組織にも底辺には密告者予備軍が潜んでいる。敵の支配下にある犯罪組織からそういう者を見つけ、〈影響力:警察〉*やあなた自身の説得の才能で寝返らせよう。

 影響力:大学* University Influence

これはトレメールなど頭脳派の血族とつきあうのにとりわけ役立つ。

  • トレメールをはじめ(昔からそうだが)学者肌の血族は、学位を瓶の蓋よろしく収集する傾向がある。中には地元の大学で教鞭をとる者さえいる――どちらかといえば人類の啓蒙より活きのいい学生が目当てのようだが。地元の大学の事務局にコネを作って、給料簿に敵の名前が載ってないか調べてもらおう。給料簿には社会保障番号や住所なども書いてあるから、運が良ければ後々武器として使える情報が手に入る。
  • 一部の血族は、食糧確保のため、友情のため、はたまた論文の題材に困ったとき盗作するために、人間の研究者たちとつきあいを保っている。そういう研究者たちに、同類のふりをして「私もあの教授に去年の夏のセミナーでお会いして以来、ぜひともお近づきになりたいと思って」とかなんとか言いながら親しくなろう。ヴァンパイアと親しい人間を知っておいて損はない――食料としても、情報源としても、人質としても役に立つ。

 〈影響力〉の相乗効果

私が気に入っている計略を一つ紹介しよう。必要なのは〈影響力:医療〉*と〈影響力:警察〉*、それにライフルの得意なグールが1人。方法は実に簡単だ。街の通りで標的の頭を狙撃する――なるべく人目の多い場所がよい。角を曲がったところに救急車を1台待機させておく。乗っているのは救急隊員の制服を着たあなたの手下たちだ――あとで大勢の記憶を消してまわるのがいやなら、なるべく自分のグールか、味方の血族を選ぶこと。反対側の角にはパトカーを待機させておく――ダッシュボードにビデオカメラがついているやつを。

標的は撃たれ――グールがよほどひどい失敗をしなければ――倒れるだろう。頭部への銃撃は、たとえヴァンパイアであっても、致死ダメージになる。私の記憶が確かなら、頭部へのダメージは(VtM基本ルールでは)2倍になる→注8のでさらに好都合なはずだが、これについては私の言うことを鵜呑みにせずに、ご自分でルールブックを確かめていただきたい。

標的に分別があれば、倒れたままじっとしているはずだ――ほとぼりが冷め、死体置場で足の指に札をつけられた後で、そっと抜け出せばいいのだから。角を曲がって救急車とパトカーが駆けつける――幸いにもたまたま近くにいた、という格好だ。もし標的が愚かなら、救急車を見て飛び起きるだろう。もちろん仮面舞踏会の掟に抵触するその場面は、職務熱心なパトカーのカメラにしっかり記録され、将来あなたの交渉材料になってくれる。

もし標的が動かなければ、あなたの配下扮する救急隊員が救急車にかつぎこみ、ドアを閉めたらただちに心臓へ杭を打つ。ここまでやりとおせれば、状況はどちらに転んでもあなたに有利だ。標的は仮面舞踏会の掟を破る現場をビデオに撮られるか――もちろんあなたは血族の安全のためにも、そのテープを公子に提出せざるをえないわけで――それを逃れたとしても、救急車に閉じこめられて完全にあなたの手中に陥ることになる。くれぐれも救急隊員には屈強な者を揃え、そして――彼らが血族でないなら――「患者」が手に負えなくなった場合に備えてプロパントーチを渡しておくことをためらってはいけない……

以上の計略は、以前に私が実際にしかけて成功をおさめたものだ。複数分野の〈影響力〉の組み合わせが相乗効果を生んだ好例だろう。

異なる分野のコネに協力して事にあたらせると絶大な効果がある。個々の手には余ることをやってのけられるばかりか、その成功でコネ自体の影響力を増すこともできる。ぴんとこないゲーマーのために言い換えると、コネがめざましい業績をあげたことは、あなたのキャラクターの〈影響力〉を上昇させる立派な理由になるわけだ。

 身代わりを用意しろ――いらないんじゃないかと思っても

どんなに完璧な計略も、まずい場面を見られたり、ふとした一言を聞かれたりして露見することはある。計略を仕掛けるときは、いざという時に罪をかぶせる身代わりを用意しておくこと。犠牲にしてかまわないグールでも、前から足手まといになっていて厄介払いできるならせいせいする味方の血族でもいい。

身代わりの人選は早めに――できれば計画段階で済ませておく。そうでなければ大至急とりかかろう。

知り合いのプレイヤーに「犠牲にするならトレメールにかぎる」と言い張る人がいる。トレメール氏族を良く思う血族はいないからだそうだ。個人的には、この考えは少々偏りすぎではないかと思う。

 終わりに

正直言って、これでもヴァンパイアが他人を陥れる手口のほんの上面をなぞったにすぎない。ここに挙げたことをヒントに、どんなことができるか考えてみてほしい。本ガイドでは、ロールプレイや、感情につけこむ計略までは踏み込んで解説しなかったが、そういう領域はプレイヤーが個々に模索していくのがいちばんだと私は考えている。

ここで紹介したのは幼童級のキャラクターでも実行できるアイデアばかりだ。必要な手段を持っていないなら、持っている血族と取引すればいい。ただしくれぐれも援助ほしさに自分を安売りしないように。ともあれ、このガイドがあなたの参考になってくれることを、そしてあなたのキャラクターに幸運を祈る!

 推薦資料

 TVドラマ

House of Cards

DVD→VHS(英語版) →DVD(英語版)
1990年イギリス
日本では『野望の階段』の邦題でNHKから放映された。

これは私の一押し、カマリリャ中心の伝統的なシナリオに参加しようとするプレイヤー必見のお勧め作品だ。要約すると、この3時間のミニ連続ドラマは、一介の中堅政治家が、謀略、欺瞞、暗殺によって首相官邸への道を切り開く様子を描いている。よく「マクベスの現代風ブラックコメディ版」と言われるが、あながち間違っていないと思う。V:tM的視点で見ると、グールや〈影響力:メディア〉*、血族間の評判を巧みに利用した計略や、きわめて老獪な情報収集の手口を学べるだろう。

I, Claudius

cover→VHS(英語版) →DVD(英語版)
1976年イギリス

合計10時間以上にもなる長編連続ドラマだが、見応えはたっぷり。特にリウィアの行動には注目。この女性はローマ帝国を自分の子孫で支配したいという野心に駆られ、脅迫、間者、そして少なからぬ殺人によって、頼りない夫とその子供たちを皇帝の座に押し上げるための地盤を固めていく。デレク・ジャコビ、ブライアン・ブレッスド、ジョン・ハートといった名優たちが、低予算を十二分に埋め合わせする演技を見せている。

注:原作の歴史小説はみすず社から『この私、クラウディウス』の題で日本語訳が出ています。

エンジェル

cover→DVD(英語版)
1999年〜アメリカ →公式サイト(英語)
日本でもFOXチャンネルで放映中(2004年2月現在)

ウルフラム&ハート弁護士事務所に注目しよう。法律を手玉にとっての悪事三昧は実にヴェントルー的だし、トレメール風の妖術まで披露してくれる。また、高い人間性をもつヴァンパイアの視点から描かれているのも興味深い。

バビロン5

cover→DVD(英語版)
1994〜1998アメリカ →公式サイト(英語)
日本ではスーパーチャンネルで放映中(2004年1月現在)

ナーン(「戦士にして詩人」タイプでいちばんブルハーに近い)とセントーリの対立は、血族間抗争の参考になる。

ファースケープ 〜宇宙からの帰還〜

cover→DVD(日本語版)
1999年〜アメリカ/オーストラリア
→公式サイト(英語)
2001年9月〜日本でもSkyPerfecTVで放映されていた

毎週毎週これだけ大勢の人々が互いにいがみあいながらよく協力していけるものだ。この番組からわかるのは、人間せっぱつまればどんな相手とでも手を組むということ、全く共通点のない人々の間にどのような集団力学がはたらくかということである。

ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア

cover→DVD
1999年〜アメリカ →公式サイト(英語)
日本ではWOWOWで放映中(2004年1月現在)

陰謀、葛藤、宿命、そして犯罪社会のすぐれた描写がこの連続ドラマ一本にまとめられている。私は第1シーズンしか見たことがないが、それだけでも一見に値する。

 書籍

Prince's Primer、Elysium

cover→Prince's Primer をAmazonで詳しく見てみる
→Elysium をAmazonで詳しく見てみる

『Prince's Primer』は Mind's Eye Theatre シリーズのサプリメントで、名が示すとおり血族の権力者をプレイするための手引きとして書かれている。しかし内容のほとんどは幼童にも役立つ。『Elysium』はテーブルトップで公子並、またはそれ以上のPCやNPCをプレイするための手引きである。これもまた、心臓に杭を打たれることなく狡猾にふるまうために役立つ助言を与えてくれる。

権力(パワー)に翻弄されないための48の法則

→Amazon.co.jpで詳しく見てみる

言っていることは孫子の兵法書やマキャベリの君主論と同じだが、より現代に即した、詳細な形で書かれている。各法則は世界の史実や寓話をまじえて解説されておりわかりやすい。「上司より目立ってはならない」「だまされやすい人間を装って人をだませ――カモより自分を愚かに見せよ」など、卑屈な態度を勧めているような法則もあってしゃくにさわるかもしれないが、どの法則も語呂が良くて覚えやすく、ヴァンパイア社会の一員を演じる上で非常にためになる。

個人的な意見では、この本は筆者の意図通りの現実社会のライフスタイルや仕事のガイドとしては役立たないが、血族のためのガイドとしてはぴったりだと思う。

Transmetropolitan

表紙→Amazon.comで詳しく見てみる
→公式サイト(英語)

このアメコミは、報道の影響力と、それを利用した(または利用される)実例、そんな報道業界で働く一人のクズ野郎の生きざまを、刺激過剰な、麻薬に酔ったような筆致で示している。

謝辞

私一人ではこれだけのお勧め資料はとても思いつかなかった! Alex B.、Suko、Ryan P. の協力に感謝する。

原著者 :Johanna Mead
翻訳者 :Professor
原文 The Vampire Players' Guide To Getting Away With Murder
サイト Unsolicited, but Useful, Advice for LARPers
 著作権は各著者に帰属します。無断複製・転載はご遠慮ください。 骰子回転劇場・転
表玄関前口上最新作観覧席喫茶室案内板楽屋裏